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先日、病院で提出した検便の検査結果が出ました。
5年ぶりに体調を崩してしまい仕事を休みました。
下痢と嘔吐を繰り返し、横になっていても気持ちが悪すぎて眠れません。
食欲も失せ、24時間絶食。
受診時は「カンピロバクターかO157が検出されるかもねえ・・・」と言われましたが、結果は黄色ブドウ球菌陽性(+)
黄色ブドウ球菌が原因の感染症の特徴、僕の体調不良は何が原因だったのか振り返ります。
医学分野なので、できるだけ信頼性の高い情報元から必要情報を引用し、原典を明らかにしながら情報をまとめました。
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)とは
「黄色ブドウ球菌」と書いて「おうしょくブドウ球菌」と読みます。北北西を「きたきたにし」と読んでしまったアナウンサーもいるようなので一応。
名前だけ聞くと「何それ美味しそう」なんですけど、食中毒や肺炎の起因菌です。
ブドウ球菌食中毒
エンテロトキシン(enterotoxin)により食中毒に
黄色ブドウ球菌が付着している食品を食べても食中毒にはなりませんが、黄色ブドウ球菌が増えすぎてしまうとエンテロトキシン(enterotoxin)という毒素が作られてしまい、その毒素が食中毒を引き起こします。
エントロトキシンは耐熱性のため(100℃、30分間の加熱でも死なない)、食品中に含まれる状態になってしまうと毒素を死滅させることは極めて困難です。
1930年にDack らはブドウ球菌自体の感染が食中毒を引き起こすのではなく,食品中でブドウ球菌の増殖に伴って産生される未知の物質により食中毒が引き起こされることを実験的に証明し,この毒素をエンテロトキシンと命名した。
黄色ブドウ球菌種が食品1グラムあたり100万個以上増殖すると、耐熱性エンテロトキシンが産生。(100万個で感染発症)菌そのものではなく、このエンテロトキシンが食中毒症状を引き起こします。
ブドウ球菌食中毒の件数
1990年代前半までは食中毒というとブドウ球菌食中毒、サルモネラ、腸炎ビブリオ。食中毒の変遷〔座談会〕 モダンメディア(2011)57巻第7号
2014年頃からノロウイルスによる食中毒が増加し、他の菌による割合は減ってきています。
ブドウ球菌食中毒の原因
参考ブドウ球菌食中毒の症状・原因・治療 Doctors Me(ドクターズミー)
人が持つ常在菌
ブドウ球菌食中毒の原因となるエントロトキシンを生成する黄色ブドウ球菌は、人体の皮膚表面、毛孔、鼻腔内に存在する常在菌。とくに創傷や化膿巣に高濃度の菌が存在しています。
感染リスクを高める3つの要因
調理者、衛星管理、食品管理。
感染リスクを高める要因1.「調理者の手→食品」
ほとんどの場合、ブドウ球菌は調理者の手から食品にうつります。調理者の手指に傷や湿疹があると感染リスクは高くなります。
感染リスクを高める要因2.「食品衛生が不十分」
食品管理の問題としては、調理器具の消毒が不十分であるとリスクが高くなります。
感染リスクを高める要因3.「食品管理が不十分」
食品の加熱が不十分だったり、室温で放置されたりするとリスクが高くなります。
感染経路図
図では原材料による汚染も含んでおり、食品管理不足による汚染は含まれていません。
原因食品の例
原因食品は、にぎりめし、寿司、肉・卵・乳、生野菜、サンドイッチ、弁当、和菓子やケーキ、ちくわ・かまぼこなどの調理加工品及び菓子類など多岐にわたっています。
欧米においては、乳・乳製品やハム等畜産物が原因食品として多く報告されています。
自分の場合の原因食品を探る
食べてから発症が30分〜6時間。
症状が出始めてから逆算して食べたものをあげると、スーパーで買ったパン3個、冷蔵庫で作った氷を入れた飲みかけの原液を使ったカルピス。
一番可能性が高いのはパン。パンは自分以外にもオカンが食べていたが発症せず。
食べたパンの種類が違ったので僕だけが感染した?
オカンの免疫力が強かった??
カルピスはその後も飲んだが発症しなかったので違う。
前日の夜に焼肉、ポテトサラダを食べたが時間的に18時間以上経過しているので違う。
福祉の仕事をしているので糞便が付いていた可能性もありますが前日が夜勤明けだったので、さすがに2日も手が汚れたままというのは考えにくい。
ブドウ球菌食中毒の症状
潜伏期間
食品摂取後30分〜6時間(平均3時間)で発症。
主な症状
嘔気・嘔吐、下痢、まれに発熱やショック症状を伴う。
治療法
治療法はない。といっても治らないのではなく補液(水分・糖・電解質の補充)と対症療法を行い経過をみます。一般には予後は良好で、死亡することはほとんどなく、通常1日か2日間で治ります。
2日間で下痢と嘔吐は止まりましたが、1週間経過した今でもお腹がグルグルとずーっと鳴っていて胃はずっと不調です。
ただし、脱水症状、血圧の低下、脈拍微弱などを伴ったショック又は虚脱に陥る場合は速やかに医療機関を受診してください。重症例では入院を要することもあります。
ブドウ球菌食中毒の予防
ブドウ球菌にかなり汚染され、食べれば確実に食中毒になる物が売られてしまっていたら、消費者は100%食べてしまいます。見破るのは不可能です。「ん?これ食べたらあかんわ」という超能力がない限り食べてしまいます。
食品を作る人への衛生教育
手洗いの徹底、食品の10℃以下での保存、食品を直接触らない、調理時は帽子やマスクを着用する。器具の消毒・管理方法など食品製造従事者がまずキチンとするように指導していくのが第一。次は食品販売者への指導。その次が消費者。
消費者ができること
- 食品製造から消費までの時間をなるべく短縮する
- 食前の手洗いの徹底
- なるべく手づかみで食べない
- 免疫力を高めておく
食品が汚染されていてはお手上げですが、「俺はちゃんとしてた」とハッキリと言えるようにしておくことで、「何らかの食品から汚染した」ことが明白となるので無駄にはなりません。
また食品が食中毒を引き起こすかもしれないギリギリレベルで購入した場合は1の早く食べるや2、3の自身の衛生管理で食中毒にならずに済むかもしれません。
黄色ブドウ球菌は日和見感染(健康な人には感染症を起こさない微生物が原因菌となり発症する感染症)の代表としてよく名前に挙がります。免疫力が低いと本来発症しないレベルでも食中毒になってしまうことがあるので、日々の体調管理には気をつけたいですね。
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泣いて喜びます。
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