自殺予防ポスターが自殺促進ポスターになっている件について

自殺予防ポスターか自殺促進ポスターか

この記事の読了時間は約4分です。

自殺予防のポスターがセンスがなさすぎて、自殺を考えるほど追い込まれている人を馬鹿にしているんじゃないか説を検証。

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自殺促進ポスター

僕が問題視しているポスターがこれ。

大阪自殺防止センターユナイテッドトゥモローが企画作成した自殺予防のポスター。

自殺促進ポスター?

ポスターを制作したのは?

大阪自殺防止センターは2000年に設立したNPO法人で、自殺を食い止めるための電話相談が主な活動。

ユナイテッドトゥモローは社会貢献活動をしている企業のポスターや動画などを制作する団体で協賛や寄付で資金繰りをしているようです。

大阪自殺防止センターのポスターの何が問題か

「真剣さ」がない

自殺予防のポスターは「真剣」であるべきだと思います。

ふざけとか笑いの要素を入れてしまうと、自殺を考えている人からしたら馬鹿にされているように感じますし、「全然この辛さをわかってくれてないな」と見切りをつけられて、自殺を予防することができないからです。

問題のポスターからは真剣さが感じられません。ポスターの女性7人が笑顔で、手を挙げて右足を折り曲げるという意味不明なポーズ。完全に冷やかしてます。このポスターを見て電話相談をしてもらおうと思って本気で制作したとは思えません。

自殺をしようとした時にガキの使い(日曜日)がテレビでやっていて、笑えた自分を客観視して「俺まだ元気やん」と認識して自殺を思いとどまった甲本ヒロト(元THE BLUE HEARTS)の例もありますけど、基本的に笑いは排除した方が予防には効果的だと思います。

「辛さ」がない

自殺予防のポスターは「辛さ」の要素が描かれるべきだと思います。

涙や苦しみなど辛さがポスターに表現されていれば、「ああこの気持ちをわかってくれているんだ」と感じられ、相手が理解していくれているなら電話をしてみようかとなります。辛さの度合いは、自殺を考えていない人が見てちょっと苦しくなる程度のインパクトでちょうどいいと思います。そうでないと自殺を考えている人の心に響きません。

問題のポスターに「辛さ」は全くありません。「ひとりじゃないよ」というメッセージが、「苦しんでいるのはあなただけで、私たちは仲間がいて楽しい」=「(あなた以外の私たちは)ひとりじゃない」と受け取られかねません。

おそらくこのポスターの女性が挙手しているのは、あなたの話を聞くということを表現していて、それが複数人いるからいっぱい話を聞く人がいるよ、ひとりで抱え込まないでというメッセージから制作されたんでしょうけど、笑顔と脚が余計で、そのせいで180度違ったメッセージに受け取られかねないというかむしろその方向で発信してしまっています。

自殺予防ポスターの模範例

自殺予防のポスターは対象者によって2種類に分けられます。

  1. 自殺をしようとしている本人へのメッセージ。
  2. 自殺をしようとしている人を周りの人に止めてほしいというメッセージ。

1.本人へのメッセージポスター

高知県健康福祉部障害保健課/2009自殺予防キャンペーン

「生きてほしい、あなたに」とシンプルで伝わりやすい真剣なメッセージ。ポスターのイラストも苦しさが描かれています。

2.周りの人へのメッセージポスター

平成22年度内閣府制作の自殺予防広報ポスター。

「あなたのまわりを見回して下さい。あなたの力で救えるいのちがあります」

描かれている二人の人物の内、一人は涙を流して「辛さ」が描かれています。笑いの要素は微塵もなく「真剣さ」しかありません。

理念とポスターの掲示は別

関西沿線の私鉄・バスでこのポスターが貼られています。鉄道会社は自殺する人を減らしたいというNPO法人の理念や行動に共感して貼っているんでしょう。それが良かれと思って。電車への飛び込み自殺も多いですし、鉄道会社にとっても自殺数を減らすことは利益につながります。(阪急京都線の人身事故の多さは異常)

ポスターの掲示の是非は理念だけではなく、ポスターの質に対しても一定の水準を求めるべきです。理念の共感とポスターの掲示許可は全くの別物です。理念が良くてもポスターがダメなら「このポスターはダメ」と言わないと、一向にポスターの質が上がりません。

自殺予防のために意図して作られたポスターであっても、質が低ければ自殺を促進してしまう危険性があるという認識を制作側、掲示側の双方にもっと持ってほしいです。


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泣いて喜びます。

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コメント

  1. 玉木 より:

    私はずっと自殺念慮を持っていましたがこのポスターを見て生きようと思いました。このポスターに救われた人間です。この記事を読んで自分が否定されたようでひどく傷つきました。どんな表現であっても賛否両論があると思います。ある考えをただひとつの正解として決めつけることはできないのではないでしょうか。あなたの考えであることは理解できますがそれが正解だとは思えません。ひとつの考え、感じ方だと思います。個人としてはこう感じる、という記事ならなるほど、と読めましたが、このポスターが間違いだと断定されている書き方には抵抗を感じます。ひどく気持ちが落ち込みました。修正していただくか、記事を削除していただきたいとさえ思っています。いろんな考え方、感じ方があるので賛否両論があるのは当然ですが、どうかこのポスターを見て生きたいと思った人間がいることも覚えていてください。駅で見かけると生きる希望になります。私のような何でもない人間が偉そうに意見できる立場にないのかもしれませんが、そういった人間にも寄り添ってくれた表現だと私は感じていますので、どうかどうかそのような人間がいることも思いながら記事を書いてください。ちなみに「あなたのまわりを見回して下さい。あなたの力で救えるいのちがあります」という表現は自死遺族である私にとってとても辛い表現です。自分が責められているようで苦しいです。でも、きっとこの表現に救われたという方もいらっしゃると思いますので、私はその表現を否定しません。表現は難しいですね。あなたのブログは時々読んでいます。おもしろいなと思っています。いつもありがとうございます。一読者からの意見として受け止めていただけたらと思います。これからも読ませていただきます。

    • kodou kodou より:

      該当のポスターを見て「生きようと思った」という貴重な意見ありがとうございます。
      自らの考えを逡巡しながら、相手を傷つけないように、なんとか自分の想いを伝えようという気持ちを感じました。

      記事の削除・修正は考えていません。
      僕も幼少の頃から軽い自殺念慮があり、人並み以上に関心のあるテーマが「自殺」です。
      「僕がもし・・・」と考えた時に、このポスターは「ない」というのは変わりません。

      玉木さんのおっしゃるように、物事に対して、特に受け取り方や解釈については十人十色なので、僕の意見が万人の代表だとは思っていません。
      僕がこの記事で表現しているのは「僕はこのポスターはダメだと思うし、最低だと思う」という自分の意見に対しての理由・補足であり、さらに鉄道会社の怠慢があるのでは?という社会に対する問題提起です。
      ブログは個人のメディアなので「僕の見方=正解」というロジックが自然だと思います。
      当然玉木さんのように「それは違うでしょ!」とか「こいつは何を言ってんだ」っ的な反応も山ほど出てくると思います(この記事に限らず)。
      コメントやtwitterで批判的に論じてもらえれば記事の深みも出てくるでしょう。
      それだけ他の人の目に触れる機会も増えることになります。

      一度何かをわかりやすい方向で打ち出さないことにはそうした反応すら薄くなってしまい、共感も批判も得られない中途半端な記事になってしまうと思います。
      「〜はこうでしょ。」ということをいかに強く、面白く打ち出せるかが大事だと思っています。
      テーマ自体の切り口の斬新さや知見があればもっと良い記事を書けるようになると思いますが、今は思い立った時にポツりポツりと細く長く続けていければと考えています。

      真面目なテーマよりもふざけた内容の記事が多いですが、温かい目で今後ともよろしくお願いいたします。

  2. 玉木 より:

    「個人の考え」ということを明言してくださったので良かったです。ありがとうございます。私は今日もこのポスターを見て少しだけ気持ちが軽くなりました。鉄道会社の皆様の努力に感謝しております。
    寒い日が続きます、kodou様もどうぞご自愛ください。これからも記事を楽しみに時々覗かせいただきます。お笑いの記事は特に好きです。では。

  3. Fennec より:

    実は私は、このポスターを見た時、LGBTの啓発ポスターかなと思っていました。登場する女子高生はカミングアウトしたゲイで、社会における性的マイノリティーとして日夜苦労していると言う様な設定だろうと思いました。性的マイノリティーであるLGBTは犯罪や自殺の発生頻度が高いと言われているので、そう言う点でこのポスターの製作意図は理解していたつもりでした。しかしこのプログで、あのポスターは駅での人身事故を抑止する目的で製作されていると言う事実を知り驚きました。一般的な自殺予防ポスターとは違うと思いますし、パッと見てそのような意図が相手に伝わるとも思えません。傾聴したり受容したりという重要な要素が欠落しており、今まさにホームに上がって投身しようという人に良い影響を与えるものではないと思います。製作しているNPOの人たちの発言や態度も決して差し迫った自殺の危機を回避しようという人たちのものではなく、アマチュアだと思います。個人の感覚は様々ですし、私が誤解した様に、使い方によっては良い啓発ポスターになると思いますが、差し迫った自死に対してこのポスターが有効に作用することは一般的には少ないのではないかと思います。したがって私はkodouさんの意見は一理あると思います。

    • kodou kodou より:

      言われてみれば性的マイノリティーのポスターである方がしっくりきますね。

      自殺予防ポスターかどうか、ユナイテッドトゥモローのHPで再確認したところ、
      ポスターの謎の世界観の動画がありました。
      テンション高く踊るという最低な作りです https://www.youtube.com/watch?v=OA_RX9ekNA0
      また、unitedtomorrow vol15で該当ポスターが自殺予防として使われていることを確認しました。

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