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映画「手紙は覚えている」をレンタルして見ました。
楽天showtimeやAmazonビデオで高評価だったので期待しましたが、完全な駄作でした。
オチがばればれすぎて、正直あらすじだけでオチがわかるという。
サスペンス好き、大ドンデン返し好きにはおすすめしません。
手紙は覚えている
制作年、日本公開年、DVD発売時期
2015年にカナダ・ドイツで制作された映画。
日本では2016年10月28日に映画館で公開され、2017年5月3日にDVD発売。
年齢制限
PG12:12歳未満の方は、保護者の助言・指導が必要
あらすじ(自分なりの要約)
主人公のゼヴ(90歳)は元アウシュビッツ収容所の生存者、アウシュビッツで家族をナチに殺された。
アウシュビッツでヒトラーの手下として働いていた親衛隊が終戦間近、捕虜の身分を盗み、偽名(ルディ・コランダー)を使って米国へ移住した。彼の本名はオットー・ヴァリッシュ。候補者は4人。奴を見つけ出して始末することがゼヴの目的。
しかし、ゼヴは認知症の症状が進んでいて意識レベルがかなり危うい状態。友人のマックスの力を借りて、薄れる記憶と衰えた体力で犯人を見つけ出すことができるのか。
以下、ネタバレ全開。
「手紙は覚えている」のオチについて
犯人=主人公というオチについて。
使い古されたオチ
犯人が自分であるというオチは斬新でもなんでもありません。
小説「慟哭」も警察官の主人公が犯人だったというオチだったはず。
もはや主人公が犯人というのは使い古されています。
- いかに視聴者に悟られないように仕掛けるか
- オチがバレててもストーリーが楽しめるか
この2点が評価するポイントになりますが、
「手紙は覚えている」はオチが露骨すぎ&オチがわかってたらストーリーは楽しめないという内容でした。
あらすじ(共通)でネタバレしてる件
赤色は@49hackJp
最愛の妻ルースが死んだ。だが、90歳のゼヴはそれすら覚えていられない程、もの忘れがひどくなった。ある日、彼は友人のマックスから1通の手紙を託される。「覚えているか?ルース亡きあと誓ったことを。君が忘れても大丈夫なように、全てを手紙に書いた。その約束を果たしてほしい―」2人はアウシュヴィッツ収容所の生存者で、70年前に大切な家族をナチスの兵士に殺されていた。そしてその兵士は身分を偽り、今も生きているという。犯人の名は“ルディ・コランダー”。容疑者は4名まで絞り込まれていた。体が不自由なマックスに代わり、ゼヴはたった1人での復讐を決意し、託された手紙と、かすかな記憶だけを頼りに旅立つ。だが、彼を待ち受けていたのは人生を覆すほどの衝撃の真実だった―
アウシュヴィッツ収容所の生存者
「2人とも捕虜だった」とは書いていない。意図的な省略。
容疑者は4名まで絞り込まれていた
最初に出会う人は探していた奴とは違うってなるんだろうなぁ、どんどん絞り込まれていく「そして誰もいなくなった」パターン。
とすると、最後も違うってなったら誰が犯人になる?探してる主人公ゼヴやろうなぁ。
託された手紙と、かすかな記憶だけを頼りに
そもそも、なぜゼヴはマックスの手紙に全幅の信頼をしているのか。マックスが黒幕説もありうるではないか。記憶が危うい状態のゼヴは手紙に頼るしかない。
ゼヴの行動は自身の意志ではなくマックスの操作による意味合いが強い
では、なぜマックスはゼヴを操作するのか?
最終的にゼヴが真犯人だと気づかせ死んでほしいからだろう。
衝撃の事実
最後、主人公死んじゃうんだろうなぁ。
あらすじの気になる箇所を掘り下げるとオチは1つしか考えられません。
あとは、それを超えるオチが隠されているか、予想通りのオチでも楽しめるか。
「手紙は覚えている」はありきたりのオチ頼みの映画でした。
予告編でネタバレしてる件
上記の予告動画からの抜き出し。
予告動画では映画本編の時間軸を変えて真犯人と対話しているように見せてましたけど、銃を自分に突きつけるシーンは見せたらだめ、一瞬でも見てる人に想起させたら終わり。
邦画タイトルでネタバレしてる件
原題はremember
覚えている、思い出せと訳せるでしょうか。
主語がゼヴなのか、探している犯人なのか、マックスなのか、手紙なのか、大衆なのか曖昧ないいタイトルだと思います。
邦題は「手紙は覚えている」
覚えているのが手紙なら、書いたマックスが覚えていることになり、ゼヴ傀儡説が濃厚に。
「90歳の復讐」とかいう邦題にした方がネタバレも防げて、バレた時には違う意味に読み解けるのでいい気がします。
「手紙は覚えている」を深読みする
オチはダメダメでしたが、緊迫感のある音楽、ゼヴのヨタヨタ歩きの演技などは良かったと思います。その他、映画で暗に伝えていたメッセージを深読みしてみます。
時代の符号性
制作年が2015年、主人公のゼヴが90歳、アウシュビッツ収容所があったのが1940〜45年。
ゼヴが20歳の時にアウシュビッツ収容所(1945年)にいたとすれば20+70(2015−1945)=90歳 となり見事に一致します。
映画はフィクションで架空の話ですが、ドキュメントとして見ることも可能な時代背景になっていました。今まさに、世界のどこかで起こり得る事件を映画化したという感じですね。
「手紙は覚えている」という映画は、時代の符号性という観点を理解すれば違った面白さも感じられます。
ゼヴは後悔していたのか?
ゼヴはアウシュビッツ時代に大量虐殺の一棒を担いでいましたが、ボケてからも「ナチは悪い奴」という道徳観を持っていましたし、最後に自分の正体が判明して自殺をする良心を持っていました。
認知症というのは厄介で症状が進むことで、今までの人格とは別人のようになってしまったと理解できるし、隠してた本性が出てきていると理解することも可能です。(医療分野では出てくる人格は本人と関係がないとする説が有力ですが、深層心理的にはそうとも言い切れないと思います。)
なので、ゼヴが本当に過ちを後悔していたのかは定かではありません。
しかし、物語後半の4人目の人物が身分を偽って生きてきたことの苦悩を独白しているので、ゼヴも同じような苦しみを抱いて生きてきたことが察せられます。
ゼヴの妻が死んでから実行したのはなぜ?
アウシュビッツでの罪、身分を偽り生きる苦しさを認知症の進行で忘れてしまうことに耐えられなかったのが手紙を書いたマックスでした。
ゼヴの認知症の進行にやきもきしながら、ゼヴの妻(ルース)が死んだタイミングで一連の計画を実行にうつしました。
妻が死ぬまで待ったのは優しさではなく、しっかり者の妻だったので(施設にゼヴを入所させたり、ゼヴがことあるごとに妻の名を読んでいたことら推測)、計画が邪魔されないようにと考えてのことだったと思います。
「命令」という皮肉
人間は権威者に命令されれば通常ありえない限度を超えて非人道的に振舞ってしまうことがミルグラム実験で証明されています。
ゼヴのアウシュビッツでの振る舞いもそうした人間の性が少なからず影響しています。
マックスは手紙による「命令」という形で再びゼヴに非人道的振る舞いを強制します。
自分の人生を狂わした「命令」、今度は相手の人生を狂わすために「命令」したんです。
悪人の子供は悪人ではない
ゼヴや4人目の人物の子供は立派な家に住み、愛情を持って生きていました。
罪という尺度で測れば彼らは2人とも大悪人ですが、彼らの子供に罪はありません。
マックスの家族が映画では描かれていなかったので対比的に表現しただけのような気もしますが、罪を憎んで人を憎まずのようなメッセージ性を少し感じました。
まとめ
- 手紙は覚えているのオチはバレバレ
- 大どんでん返し好きにはおすすめできない
- 深読みすれば面白さが出てくる映画
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泣いて喜びます。
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