サッカーにおけるグループリーグ突破に必要な勝ち点についての考察

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この記事は2016年1月21日に更新しました。
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グループリーグ突破の優先項目

ワールドカップ、ワールドカップ予選、オリンピック、オリンピック予選などでは、長年、4チームによる総当たり戦(グループリーグ)が実施され、そのグループリーグで得た勝ち点の上位2カ国が決勝トーナメントに進出するという条件で大会が行われている。

「勝ち点」解説

試合に勝ったチームに3点、負けたチームに0点、引きわけた場合は両チームに1点が与えられる。

※勝ち点が同じの場合、以下の順のスコアが高いチームが上となる。

勝ち点が同じなら、得失点差→総得点→…

  1. 得失点差
  2. 総得点
  3. 当該チーム同士の対戦における勝ち点
  4. 当該チーム同士の対戦における得失点差
  5. 当該チーム同士の対戦における得点
  6. 抽選

グループリーグで開催される試合数

開催される試合数は6試合(3×4÷2)

6試合おこなわれるのでグループリーグでは合計最大18pt(3pt×6)勝ち点が発生する。

勝ち点の全てのパターン

1チームがグループリーグで獲得する勝ち点は以下のいずれかになる。

3勝=9pt(3×3)

2勝1分=7pt(3×2+1)

2勝1負=6pt(3×2)

1勝2分=5pt(3+1×2)

1勝1分1負=4pt(3+1)

1勝2負=3pt(3)

3分=3pt(1×3)

2分1負=2pt(1×2)

1分2負=1pt(1×1)

3負=0pt

自力突破に必要な勝ち点数

他チームの試合結果にかかわらず、上位2チームに入れば「自力突破」となる。

グループリーグを自力で突破するのに必要な勝ち点は7pt以上(7か9)

6pt以下だと他チームの試合結果に左右される。

9pt獲得でグループリーグ突破確定、1位突破確定。

3勝=9pt(3×3)

全勝しているので、1位でグループリーグ突破。

7pt獲得でグループリーグ突破確定。2位の可能性あり。

2勝1分=7pt(3×2+1)

7より多い勝ち点を獲得したチームは2つ作れない

17-7=10 10÷2=5 5<7なので、グループリーグ突破確定。

※引きわけが1試合発生しているので発生する勝ち点の最大は18ptではなく17pt

引き分けの場合は双方に1ptが与えられるので発生するptは2pt、

勝ち負けの場合は片方に3ptが与えられるので発生するptは3pt、

引きわけが1試合発生すると、発生最大勝ち点18から1減っていく

引きわけた対戦チームがその後、2勝し、勝ち点が同じ7ptで並ばれると、

得失点差等で2位抜けになる可能性がある。

6pt獲得ではグループリーグ突破は確定しない。ほぼ確実。

2勝1負=6pt(3×2)

18-6=12 12÷2=6

勝ち点6を獲得しても、自チーム以外に2チーム同時に勝ち点6になる可能性がある。

その場合、得失点差等で3位になる可能性があるため、グループリーグ突破は確定しない。

例)アトランタオリンピックの日本代表

アトランタオリンピックでブラジルと対戦し、1-0で勝利した日本の試合は、現在でも「マイアミの奇跡」としてよく知られている。

グループリーグで日本は2勝1負の成績を残すも、得失点差の関係で3位となり、グループリーグ突破はできなかった。

しかしながら、「上位2チームのみ決勝トーナメント進出」となった98年フランス大会から2014年ブラジルワールドカップまで、勝ち点6をあげたチーム14チームは全てグループリーグ突破を果たしている。

数字上は勝ち点6だと自力突破は確定しないが、ほぼ確実とみてよい。

グループリーグ突破に必要な最低勝ち点

突破できる可能性がある最低の勝ち点は2である。

つまり、3試合で1つも勝利できなくても、2つ引きわければ突破の可能性がある。

例)リオデジャネイロオリンピック予選の北朝鮮代表

勝ち点2で3チームが並んだ。

得失点差でサウジと北朝鮮が同じ-1、

総得点も同じ5点(表には書かれていないが)、

当該チーム同士の対戦における勝ち点も同じ2、

当該チーム同士の対戦における得失点差も同じ0、

当該チーム同士の対戦における得点(日本を除いた3チームの対戦であげた得点)で北朝鮮は5得点、サウジアラビアの4得点を上回ったためグループリーグ突破の2位になった。

勝ち点4について

勝ち点4(1勝1分1敗)のグループリーグ突破の可否について、

「上位2チームのみ決勝トーナメント進出」となった98年フランス大会から2014年ブラジルワールドカップまで、

勝ち点4をあげたチームが進出できたかどうかを調べた。

2014年ブラジルワールドカップ   突破チーム4、敗退チーム2

2010年南アフリカワールドカップ  突破チーム4、敗退チーム5

2006年ドイツワールドカップ    突破チーム2、敗退チーム1

2002年日韓ワールドカップ     突破チーム4、敗退チーム4

1998年フランスワールドカップ   突破チーム1、敗退チーム2

98年以降5大会での計29例中、突破が15(52%)、敗退が14(48%)

つまり、勝ち点4だと突破できる可能性は約50%

勝ち点のまとめ

勝ち点7か9でグループリーグ突破確定。

勝ち点6ならほぼ確実。

勝ち点4なら突破は50%。

初戦に負けた時点で、残り2試合を2勝しても6ptにしかならないので、

自力突破の可能性は数学上は消える。

「初戦に勝てば~」という言葉について

勝ったから突破できるのではなく、強いから勝つ

「初戦に勝てばグループリーグ突破の可能性は~%」という発想はおかしい。

「強いチームなら初戦に勝つし、弱いチームなら初戦に負ける」ただそれだけ。

もちろん合計獲得勝ち点を考えた場合、初戦に勝っていた方が有利だけど、

「初戦に勝ったから」ではなく、「初戦に勝てるほど強くなっていたから」という考え方を忘れちゃいけない。

一応、98年~2014年までに開催されたワールドカップ5大会の結果を分析してみた。

初戦に勝ったチームのGL(グループリーグ)突破確率

フランス大会  突破11、敗退0、

日韓大会    突破9、敗退3、

ドイツ大会   突破11、敗退2、

南アフリカ大会 突破8、敗退2、

ブラジル大会  突破13、敗退1、

合計      突破52、敗退8.

つまり初戦に勝ったチームは87%の確率でGL突破

初戦に勝っても13%はGL敗退。

2戦目に勝ったチームのGL突破確率

フランス大会  突破8、敗退2、

日韓大会    突破6、敗退4、

ドイツ大会   突破12、敗退0、

南アフリカ大会 突破9、敗退3、

ブラジル大会  突破10、敗退2、

合計      突破45、敗退11.

つまり2戦目に勝ったチームは80%の確率でGL突破。

2戦目に勝っても20%はGL敗退。

3戦目に勝ったチームのGL突破確率

フランス大会  突破10、敗退3、

日韓大会    突破9、敗退3、

ドイツ大会   突破9、敗退3、

南アフリカ大会 突破10、敗退2、

ブラジル大会  突破8、敗退3、

合計      突破46、敗退14.

つまり3戦目(最終戦)に勝ったチームは77%の確率でGL突破

3戦目(最終戦)に勝っても23%はGL敗退。

初戦、2戦目、最終戦に勝った場合の突破確率

初戦に勝ったチームは87%の確率でGL突破
2戦目に勝ったチームは80%の確率でGL突破。
3戦目(最終戦)に勝ったチームは77%の確率でGL突破。

「初戦が大事」というのもあながち間違ってはいない結果となった。

統計的に有意かどうかはおそらく母数が少なすぎるため計算できない?

初戦に負けた場合のGL突破確率

次に、初戦に負けてしまった場合のGL突破確率は、

2戦目、3戦目に負けてしまった場合と比べてどうかを検証した。

フランス大会  突破0、敗退11、

日韓大会    突破1、敗退11、 トルコ

ドイツ大会   突破2、敗退11、 ガーナ、ウクライナ

南アフリカ大会 突破1、敗退9、  スペイン

ブラジル大会  突破3、敗退11、   ギリシャ、ウルグアイ、アルジェリア

合計      突破7、敗退53.

つまり初戦に負けたチームは12%の確率でGL突破。

初戦に負けると88%の確率でGL敗退。

2戦目に負けた場合のGL突破確率

フランス大会  突破1、敗退9、 イングランド

日韓大会    突破2、敗退8、    イタリア、パラグアイ

ドイツ大会   突破1、敗退11、 オーストラリア

南アフリカ大会 突破4、敗退8、   韓国、日本、ドイツ、スロバキア

ブラジル大会  突破1、敗退11、   スイス

合計      突破9、敗退47.

つまり2戦目に負けたチームは16%の確率でGL突破。

2戦目に負けると84%の確率でGL敗退。

3戦目に負けた場合のGL突破確率

フランス大会  突破4、敗退7、  ブラジル、デンマーク、ナイジェリア、クロアチア

日韓大会    突破1、敗退11、  アメリカ

ドイツ大会   突破2、敗退10、  エクアドル、メキシコ

南アフリカ大会 突破3、敗退9、  メキシコ、ガーナ、チリ

ブラジル大会  突破3、敗退10、  チリ、ナイジェリア、アメリカ

合計      突破13、敗退47.

つまり3戦目に負けたチームは22%の確率でGL突破。

3戦目に負けると78%の確率でGL敗退。

初戦、2戦目、最終戦に負けた場合の突破確率

初戦に負けたチームは12%の確率でGL突破。
2戦目に負けたチームは16%の確率でGL突破。
3戦目に負けたチームは22%の確率でGL突破。

2戦終了時点で突破が確定していた場合、3戦目は戦力を温存してくる可能性が高いため、数値としてもそれが表れたと考えられる。

初戦に引きわけた場合のGL突破確率

次に、初戦を引きわけた場合のGL突破確率を検証した。

フランス大会  突破5、敗退5、

日韓大会    突破6、敗退2、

ドイツ大会   突破3、敗退3、

南アフリカ大会 突破7、敗退5、

ブラジル大会  突破1、敗退3、

合計      突破22、敗退18.

つまり初戦に引きわけたチームは55%の確率でGL突破。

初戦に引きわけると45%の確率でGL敗退。

2戦目、3戦目の引きわけたチームのGL突破確率は計算する意義を見いだせないので割愛。要望があれば頑張りますw

初戦の結果による突破確率まとめ

1998年フランス大会~2014年ブラジル大会までのワールドカップのグループリーグの結果から、導き出された確率は以下の通り。

初戦に勝ったチームは87%の確率でGL突破。

初戦に負けたチームは12%の確率でGL突破。

初戦に引きわけたチームは55%の確率でGL突破。

勝利の重要度は、初戦の勝利>2戦目の勝利>3戦目の勝利

負けの致命的度は、初戦の負け>2戦目の負け>3戦目の負け

初戦を引きわけても突破できる確率は55%。

最終的に勝ち点4をとれば50%で突破できるので、

残り2試合を1勝1負で計算するのが現実的な目標となる。

最後に

当記事で算出した元となるデータ数は慎重にカウントし、計算を行っています。

万が一、元データなどで誤りを発見されましたら、コメントにて指摘していただけると、助かります。


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泣いて喜びます。

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