投げ出しそうになったら「人類代表俺」という気概を持て!

奇跡のリンゴ書評

この記事は2016年4月1日に更新しました。
情報が古くなっている可能性があるのでご注意ください。

この記事の読了時間は約7分です。

「奇跡のリンゴ『絶対不可能』を覆した農家・木村秋則の記録」読了しました。

絶対不可能を覆した農家、木村秋則の記録。「無農薬栽培でリンゴは作れない」という常識に挑んだ話。NHKのプロフェッショナルで取り上げられるなど、一時期話題になりました。映画化も。

2016年に購入した本一覧(随時追加&書評も追加)

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総評

木村秋則さんへの取材をもとに、石川拓治さんがまとめた記録という本の体裁。

レビューではその体裁の好き嫌いで評価が2分されます。

この本に不満を持つ人は「そんなこと木村秋則は言ってねえだろ、お前の見方が気に入らねえ」的な所でツッコミたいんだと思います。

僕は星5をつけました。

語り手がプロなら聞き手もプロ。

よくぞここまで文学作品として高みに持ってこれたなと思いました。

Amazonで石川拓治さんの他の著作を検索したら、面白そうな作品がなかったのが残念。

参考石川拓治著作一覧

心打たれた文章を振り返ります。

小見出しは僕の創作、「」は文章から引用。

冒頭の詩のインパクト

この詩のインパクトがすごくて、買うことを即決したほど。

「危険から守り給えと祈るのではなく、
危険と勇敢に立ち向かえますように。

痛みが鎮まることを乞うのではなく、
痛みに打ち克つ心を乞えますように。

人生という戦場で味方をさがすのではなく、
自分自身の力を見いだせますように。

不安と怖れの下で救済を切望するのではなく、
自由を勝ち取るために耐える心を願えますように。

成功のなかにのみあなたの恵みを感じるような
卑怯者ではなく、失意のときにこそ、
あなたの御手に握られていることに気づけますように。」

(ラビンドラナート・タゴール『果物採集』より 石川拓治訳)

詩の原文

Let me not pray to be sheltered from dangers
but to be fearless in facing them.

Let me not beg for the stilling of my pain
but for the heart to conquer it.

Let me not look for allies in life’s battlefield
but to my own strength.

Let me not crave in anxious fear to be saved
but hope for the patience to win my freedom.

Grant me that I may not be a coward,
feeling your mercy in my success alone;
but let me find the grasp of your hand in my failure.

(excerpted from Rabindranath Tagore,”FRUIT-GATHERING”)

ラビンドラナート・タゴールとは

アジア人初のノーベル文学賞受賞者。インド独立運動の時代にタゴールが作詞作曲した「ジャナ・ガナ・マナ」はインドの国歌に、「アマル・ショーナル・バングラ」は、バングラデシュの国歌に採用されている。

参考タゴール詩の朗読『朝の鐘』< 番組紹介 – ラジオ ニュームンバイ

ちなみに、百貨店などに出店している「フルーツギャザリング」というビューティーセレクトショップは、タゴールの詩集「フルーツギャザリング(邦題:果実採集)」に由来している。

タゴールの詩「果物採集」の全文が載っている詩集があるか。

以下に紹介するリンクをクリックし、ページ右下に表示される「入手する>書店等で探す」をクリック、検索できるサイトが表示されるのでGOを押す。ネットより古本屋の方が値段が安く設定されている模様。

「タゴール著作集 第1巻」(1981 第三文明社)に「果実あつめ」(山室静訳)

「タゴール著作集 第5巻」(1961 アポロン社)に「果実籃」(片山敏彦訳)

「タゴール詩選, 3」(1967 アポロン社)に「果実籃」(片山敏彦訳)

「タゴール詩集」(1943 河出書房)に「果實採集」抄(山室静訳)

「果物採取」を訳した川口正吉氏の日本語訳もネットでは引用されているが、国会図書館の検索で出てこないので、おそらく該当書物はない。

参考タゴールの詩「果物採集」の全文が載っている詩集があるか。『奇跡のリンゴ』で紹介されていた。 | レファレンス協同データベース

ちなみに英語は版権が切れていて無料でPDFがダウンロードできる。135ページ。

ダウンロードRabindranath Tagore(1916)”FRUIT-GATHERING”

困難に陥った時の思考法

困難こそ自分の輝く場

「ところが、リンゴの無農薬栽培が一筋縄でできるもんじゃないってことがわかって、俄然やる気になった。ここからが自分の出番だと。自分の力でこの枯れ木の山を、なんとしてでも元のような緑のリンゴ畑に変えてやるんだと。そう思い込んでしまったのさ。」

彼もまた挑戦を生きがいとする人間なのか

スラムダンク29巻

歯抜けの爺さんだと思っていたら、中身が流川楓だったでござる。

捨て身

「世の中に受け入れられるかどうかは問題ではない。それは、世の中が決めることだ。自分はこの道を行けばいい。あとは野となれ、山となれだ。」

人類を背負っているという自負

「ここで自分が諦めたら、もう誰もそれをやろうとはしないだろう。自分が諦めるということは、人類が諦めるということなのだと思った。」

数百年の歳月で誰も成し遂げられていないことに挑戦し、あらゆる手段、方法を試したがダメだった時に悟った境地。

見えざるものを見よ

「何も出来ないと思っていたのは、何も見ていなかったからだ。目に見える部分ばかりに気を取られて、目に見えないものを見る努力を忘れていた。」

部分ではなく全体像を捉え、そこから要素を部分的に分析する。

木を見て森を見ずに陥らない。

見えざるものを見よ

見えざるものを見よっ

賭博堕天録カイジ9巻

成功の一歩先を考える

いい物を作って終わりではない、それをどう売るか

「生活することが出来て初めて、無農薬でもリンゴは育てられるんだと言える。生活出来ないようじゃ、誰も真似しようと思ってはくれないものな、自己満足で終わるわけにはいかない。実を言えば、リンゴがなるようになるずっと前から、そのことは考えていたの。」

作れない、できないで借金だらけ、村八分、親には縁を切られていた状況で、リンゴができたらどう売るかを考えていたっていうのは常人のメンタルではないです。

人への感謝

「リンゴの実をならせるのはリンゴの木で、それを支えているのは自然だけれどもな、私を支えてくれたのはやっぱり人であったな。」

人への感謝は振り返れば感じるものであって、苦労の途中では感じにくいもの。途中で感じるような感謝は偽りではないかと僕は疑ってしまう。

表現、構成のうまさ

うまいと思った文章表現

「安全なリンゴを作ることと、安全にリンゴを作ることはまた別の話」

昔、農家は安全なリンゴを作るために農薬を使いまくっていたので、安全にリンゴを作っていたわけではなかったという意味の文章表現。

導かれたような話

自然農法の1冊の本との出会い、絶望の淵で見た希望の光、全て偶然にしては出来過ぎな気がします。たぐりよせたと言うべきか、導かれたと言うべきか。

出演動画、公式サイト

NHKプロフェッショナル出演時の動画

2006年12月7日放送(第35回)

インタビューが下手すぎて全然話をひきだせていません。

木村秋則のオフィシャルページ

奇跡のリンゴ


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泣いて喜びます。

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