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落合博満元中日ドラゴンズ監督の「采配」という本を読みました。
監督時代は任期8年で4度の優勝、4位以下になったことなし。
選手時代は3度の3冠王。
人として落合に興味があったのではなく、現役時代も監督時代も、「この人変わってるなぁ、考えてることわからへんなぁ、ちょっと薄気味悪いなぁ」と思っていました。
監督として追求していた野球は超守備的で見ていて全然つまらなかったし、残した成績は抜群なのに、どうしても好きになれない・・・
その奇異さはメディアからも「オレ流」と言われていました。
だからこそ、
自分が理解できない人の頭の中を少しのぞいてみたい。
どういう考えでチームを成長させようとしていたのかを知りたい。
そういう訳で落合博満監督が描いた「采配」を読むことにしました。
本の中の名言を紹介します。
目次(クリックでワープ)
落合博満の哲学
本を読んで@49hackJpが感じた落合の哲学は以下。
- プロなら自己成長しろ。
- 言い訳で終わるのではなく、その一歩先を考えろ
- 勝利至上主義、そのために選手優先・秘密主義。
- スタメンは選手が決める、コーチに仕事を徹底的に任せる、監督は「見る」のが仕事
自己成長
質を高める、やれることを広げるを繰り返す
要は、自分だけができるつもりになるのではなく、「誰が見ても試合でできると思えるレベル」まで、自分のパフォーマンス(仕事)の質を高めていくしかない。自分には何ができるのか正しく認識し、できないことはできるように努力し、できるようになったら質を高めていく。そうやって段階を踏みながら仕事に取り組めば、次第にその仕事は自分に合っているのか、あるいは別の分野で頑張っていくべきなのか、客観的な視点でも判断できるようになる。
p28
質を高めることは自然に取り組めても、できないことをできるようにするのは敬遠しがち。
できないことは怖いし、そこでつまづくと今までやれていたことも時間的に手が回らなくなってしまう。
できないこと=教えられてないから と言い訳せずに取り組むのが大事。
真剣に取り組む
どんな人でも、何かの技術を身につけようと、ひとつのことに打ち込めば、性格や考え方にも変化が生まれるのだ。
p37
学び→変化→学び→変化・・・
仕事に限らず、いろんな分野の知識や経験があると、横断的に繋げられる。
一朝一夕では身につけられない。
自分以外他人
故障や怪我に見舞われたり、思い通りのプレーができなくなると、心のどこかに「所詮コーチは第三者なんだ」という思いが生まれ、アドバイスを素直に聞くことができなくなったりする。
p145
自分が病気をしたりして弱くなった時に思い知るのは
「なんや、みんな俺のことどうでもいいんや」という真実。
いつまでも自分が小学生の時のような感覚で、「心配してくれるのが当たり前」と頭のどこかで思ってしまう。
その虚しい思いを受け止めながらも、真摯に改良に向けて動き出す姿勢が必要。
「自分を大成させてくれるのは自分しかいない」
p213
「自分の野球人生に自分で責任を持つ」
p218
言い訳の先
不安を進歩に
不安を拭い去れず、「俺は自信がない」とひるんでいては進歩がない。誰もが不安を抱えているからこそ、試行錯誤しながら努力を続けられるのである。そう考え、自分はどんな練習(努力)をすればいいのか考え抜くことが大切なのだ
p32
防御率より勝利数
投手が重視すべきは防御率か勝利数かというのはよく議題になります。
菅野投手はもちろん値するでしょう。
ですが両リーグから1人選べばいいし、そもそももう勝ち数で判断する時代は過ぎていなければいけないはずです。 https://t.co/g9qE5LrYvq— ダルビッシュ有(Yu Darvish) (@faridyu) October 30, 2017
落合は勝利至上主義なので勝利数を重視します。
「打線が援護できないのに、なぜ点を取られるんだ。おまえたちが0点に抑えてくれれば、打てなくても0対0の引き分けになる。勝てない時は負けない努力をするんだ」
p66
チームスポーツで「仕事をした」と言えるのは、チームが勝った時だけである。
p67
リーダーは「見る」ことが全て
手抜きの放置がチームを崩壊させる
注意しなければ気づかないような小さなものでも、「手抜き」を放置するとチームには致命的な穴があく。
p105
見える変化にとらわれすぎない
どんな世界でも、外から見える姿に大きな変化はなくても、内部ではさまざまな進歩や変化があるはずなのに、それを見ようとはしない。
p152
外部変化がなければ内部変化もないのか確かめる。
当たり前の中にも情報あり
ひとつの仕事を続ければ続けるほど、自分の身の回りのことが当たり前に見えてくる。いや、もっと言えば「当たり前」と決めつけ、見なくなる。しかし、固定観念を取り除いて見てみれば、その中に多くの情報があることを実感できるはずだ
p164
当たり前が当たり前でなくなれば、緊張が生まれ、見落としが少なくなる。
リーダーがすべきこと
オーバーワークであっても止めるな
コーチに対して落合が求めていること⬇︎
「自分から練習に打ち込んでいる間は、オーバーワークだと感じても絶対にストップをかけるな」極論すれば、その時のオーバーワークが引き金となって選手がつぶれてしまってもいいと考えている。「これ以上練習させたら壊れてしまう」と指導者が気を遣っても、一軍で活躍することができなければ、結果として壊れたのと一緒だろう。
p219
この一文が一番インパクトがありました。
落合は猛練習なくして成長なしと考えています。
「壊れてもいい」と考えるのは、
仮に野球選手としてダメになっても、他の分野で大成する才能があるならそれは好ましいという考えが背景にあるから(本の中で言及あり)
自分から練習に というのがポイントで押し付けてはいないことがミソですが。
「どんなに遅くなっても、練習している選手より先に帰るなよ。最後まで選手を見ていてやれよ」
p220
壊れたっていいんだという人を物のように扱う人間観ではなく、
包み込む優しさがあります。
「お前にとって何かの成長につながるなら俺は止めないよ」というスタンス。
勝つことにこだわりすぎて敬意を欠いていないか
チームの士気を高めるために審判員を利用するのは、どこかで彼らの立場が自分たちより下だと思っているからではないか。
p239
ポーズとして審判に抗議することの是非に対する文章。
勝利至上主義でありながらも審判に対する敬意を考えているのがすごい。
本の中で野球をやれている環境、関係者に対する感謝を忘れずに、歴史を学ぶ大切さを説いています。
起こりえない状況の想定から戦うヒントが見えてくる
「そんなこと起こるわけがない」ということを真剣に考えることで、日本シリーズをよりよい試合にするヒントを得られると考えているからだ。
p252
起こりえないことを考えたって時間の無駄というのも真理だけど、
そこからの逆算で今取るべき行動の選択が見えてくることもある。
方法は押し付けるな
技術、仕事の進め方というものには「絶対的な基本」がある。しかし、「絶対的な方法論」はない。
p281
身につけて欲しいことはあっても、それを習得する方法論は山ほどある。
自分がやった方法=他人にも最適な方法 とは限らない
方法は押し付けてはいけないし、押し付けられてもそのまま受け入れてはいけない。
介護の標準化と個別化という話にも通ずる。
その他にも
- 日本代表になった平田選手の成長エピソード
- 日本シリーズ完全試合目前だった山井選手のエピソード
- 森野選手のレギュラー奪取エピソード
- 荒木・井端のコンバートエピソード
など野球ファン垂涎の話が盛りだくさんでした。
機会があれば
「見る」「待つ」という行為について落合が語っているコーチングという本も読みたい。
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泣いて喜びます。
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