「シン・ゴジラ」人気の背景を考察する(ネタバレありの感想)

シンゴジラポスター

この記事は2016年9月9日に更新しました。
情報が古くなっている可能性があるのでご注意ください。

この記事の読了時間は約8分です。

ゴジラには全然興味がなく、「シンゴジラが面白い!」という記事をみても見に行こうと思わなかったんですが、同居している母親が「シンゴジラを見に行きたい!!」としつこかったので一緒に見に行ってきました。

スポンサーリンク

あらすじ

あらすじは予想通りというか、それしかないです、そうゴジラが日本に出現して暴れる話w

お決まりのパターンでこれが29作目というのはすごいです。

ゴジラシリーズの第29作である。『ゴジラ FINAL WARS』以来約12年ぶりの日本製作のゴジラシリーズ

wikipedia シンゴジラ

参考映画『シン・ゴジラ』公式サイト

予告動画

感想(ネタバレあり)

率直に採点するなら70点位でした。一緒に見に行った母親の反応も同じでした。よくできて作りこまれてるけど、映画としてはイマイチ。「これを面白いと言っているのはどの層なの?」っていう感じでした。映画館で見てそうだったのでテレビで放送となると、さらに評価は低くなってしまうと思います。

記憶が曖昧な所もありますが、良かった点、悪かった点をまとめます。

良かった点

  1. シンゴジラ出現の経緯、出現してからの政府の動き、世界の動きなどがリアルで日本の直面している社会問題を皮肉っていた。
  2. 終始緊張感のあるシーン
  3. 石原さとみがエロい
  4. 解釈が色々できるラストシーン

シンゴジラ進化の理由

放射能汚染物質の海への不法投棄によって、その環境に対応するために放射能能力を持ったシンゴジラ。完全に今の日本の何十年後か先の未来の話です。

ゴジラ出現後の政府の動き

ゴジラ出現を頑なに認めなかったり、対策室を立ち上げて専門家を呼んでヒアリングをしたり、メディア対応のいざこざなど非常にリアルで東日本大震災の裏側を覗いているようでした。

ゴジラ出現時には国民の愚かさを(一刻も早く逃げなきゃいけないのに服をカバンにつめる、逃げずに動画を撮影する)、出現後には総理の愚かさを(自分で何も決められない、傀儡)印象的に描いていました。

世界を巻き込む

日本がゴジラに襲撃されると、当然、世界も動きます。国連の多国籍軍編成、アメリカの介入によるシンゴジラ情報の搾取、原発先進国フランスの助けなど、徹底して「もしゴジラが本当に日本を襲撃したら」という前提でストーリーが作られていました。

終始緊張感のあるシーン

ゴジラ出現は1回で終わらず、進化して二回目登場、体内のエネルギー源を使い果たすと貯まるまで制止。その間に対策を練るというタイムリミット設定で初めから終わりまで緊張感のあるシーンが続きます。

石原さとみがエロい

石原さとみがアメリカ側の特使かなんかで英語をしゃべりまくります。イーオンの英会話教室のCMに出ているのでさすがだなぁと思いました。んで超セクシー。

ただ、英語の発音がネイティブが聴くとひどいらしく「シンゴジラの唯一の欠点は石原さとみの英語」とまで言わてました。可哀想…

エロければ何でもOKでしょうが!w

解釈が色々できるラストシーン

シンゴジラのズームアップで映画が終わりますが、そのシンゴジラの体に人間の歯のような形状のものがあるということで、元は人間なんじゃないか?みたいな解釈が巻き起こりました。

解釈が色々できる、複雑であるというのは良い映画の条件です。

作家の筒井康隆も「作品は作家の手を離れた瞬間から読者の物になる。解釈は自由でそれを作家がどうこういう筋合いはない」と関西ローカルの番組で話してました。

悪かった点

  1. リアリティにこだわりすぎて物語としてのひねりがない
  2. 出演者全員が早口
  3. シリアスな映画なのにボケの要素がある
  4. 血液凝固剤の注入シーンに無理を感じる

リアリティにこだわりすぎて物語としてのひねりがない

シンゴジラはゴジラ出現という非リアルなことを、「もしゴジラが本当に日本を襲撃したら」という前提で徹底してリアリティにこだわった作品です。

リアルな出来事って想像が容易なので、「まぁそうなるわな」的な話がずーーっと続くので面白みに書けます。意表をつくことといえばシンゴジラが放射能を帯びていることと、最後のラストシーン位なもんで、どんでん返し好きの僕としては刺激が足りませんでした。

シンゴジラが面白くないんだったら過去28作のどれも面白いとは思えないんでしょうね。

出演者全員が早口

映画は2時間を超えると興行収入が落ちてしまうようで、映画「ソーシャル・ネットワーク」が上映時間を2時間におさめる為に、出演者のしゃべりを早口にさせた話は有名です。

シンゴジラもおそらく同様の問題を抱えていて、出演者全員が早口でした。ゴジラという緊迫性の高い出来事なので、早口であってもそれほど違和感は覚えませんけど、聞いているとやっぱり疲れます。

シリアスな映画なのにボケの要素がある

シンゴジラとのラストバトルで私鉄各社を使った攻撃があります。たしかその攻撃の名前が「無人在来線攻撃」ネーミングがおもろすぎて、緊張感ある場面なのに笑ってしまいました。遊び心は好きですけど、シリアスに作ってるならボケの要素はいらなかったんじゃないでしょうか。

血液凝固剤の注入シーンに無理を感じる

シンゴジラを倒すには爆撃では無理なので、体内に血液を凝固させる液体のクスリを注入します。計算された必要分を100%として、今~%!という手に汗握るシーンがあるんですが、ちょっと無理を感じます。

無人在来線攻撃などをくらってノックダウンしたら注入、再び移動して倒しては注入を繰り返しますが、ゴジラの移動した先に、血液凝固剤をタンクに詰め込んだ重機を素早く移動させられるとは思いません

道は荒れ果ててるし、ゴジラは移動早いはずやし、血液凝固剤もゴジラを固まらせる分ギリギリしか作れてないって話なので、移動するであろうところに重機を配備させておくってのも無理なので、映画のようなシーンはちょっと強引です。

「シンゴジラ」人気の背景

シンゴジラがなぜこれほどまでに人気が出たのかについて

潜在的な「巨大物への畏敬の念」が日本で強まっていた

漫画「進撃の巨人」

漫画「進撃の巨人」が近年、人気になりました(2015年コミック売上ランキング3位、2015年10月現在累計5000万部)。壁を隔てて人間と共存していた巨人が、壁をぶち壊して攻め込んでくるという話です。

僕は全然おもしろくなくて途中で読むの止めましたけど、「巨大な生物が攻めてくる」っていう話は人間の興味を引き付ける不思議な魅力があるようです。

ゲーム「モンスターハンター」

ゲームの世界では「モンスターハンター(3DアクションRPG)」が人気となり、仲間と協力して巨大生物をじりじりと倒すというテーマのゲームが続々とリリースされました。

今回のシンゴジラのラストシーン、倒しては血液凝固注入というのも、モンスターハンターをモチーフにしたように感じました。

そうした潜在的な「巨大生物への畏敬の念」が日本に蓄積されていて、今回のシンゴジラとマッチして、人気が出たように思います。

「進化」という要素

2回出現する

1回出てきて終わりだと、出てくるまでに話をひっぱらないと行けないので間延びしますが、シンゴジラはいきなり出てきます。これは進化前の姿で、その後進化してシンゴジラになります。進化の要素を盛り込むことで2回出現させれられます。

スマホゲーム「ポケモンGo」

また、ポケモンGoの配信(2016年7月22日)によって、「生物は進化するものだ」という暗黙の理解が浸透(再認識)し、「進化」に対して自然に受け容れられる土壌が整っていたように思います。

Pokémon GO

Pokémon GO
開発元:Niantic, Inc.
無料
posted with アプリーチ

東日本大震災

日本が破壊されている様は東日本大震災を彷彿とさせました。東日本大震災以降、どの映画の破壊シーンを見ても、日本人であれば東日本大震災を思い出してしまうと思います。

破壊が含まれる映画の背負う十字架

  • 映画の破壊シーンが東日本大震災より迫力があるか
  • 東日本大震災を思い出したくない人も思い出させてしまう、その上で「良かった」と評価されるクオリティの映画であるか

シンゴジラではこの2つの基準を満たしていたため人気が出たと考えられます。

復興へのメッセージ

破壊された街を見て、スクラップ&ビルトで日本は立ち直ってきたじゃないか!などと話す、前向きなシーンがありました。

スクラップアンドビルドとは、老朽化して非効率な工場設備や行政機構を廃棄・廃止して、新しい生産施設・行政機構におきかえることによって、生産設備・行政機構の集中化、効率化などを実現すること。

スクラップアンドビルド – Wikipedia

壊されても治すというのは被災地だけでなく、戦後の復興や、海外での日本人捕虜が築き上げてきた日本人のメンタリティです。そこに働きかけるメッセージは見ている者に響くものがありました。

政治家のあるべき姿

無能な政治家と有能な政治家が対照的に描かてていました。引き際こそが肝心という言葉も、2016年に世間を賑わせていた舛添要一前東京都知事のことがあったので、印象的に映りました。

放射能汚染物質を海に流した未来を描く

東日本大震災の原発問題で、放射能に汚染された物質を海に流すということが行われていますが、普通に考えて環境にいいはずがない。でも、そうするしかないという日本のジレンマを上手く取り上げて、その結果、シンゴジラが誕生したという背景になっています。

単なるお話ではなく、こうなるかもしれないという日本の未来の話。

3行まとめ

シンゴジラはよくできた映画だがつまらなかった。

潜在的な「巨大物への畏敬の念」の日本での強まりとマッチし、ポケモンGo人気、舛添要一の引き際の悪さ、東日本大震災の懸念材料などを上手く取り入れた映画だった。


この記事をブログ等で紹介する際は下のHTMLコードをコピペしてお使い下さい。
泣いて喜びます。

<a href="http://49hack.jp/shingodziiia-netabare-kansou/">「シン・ゴジラ」人気の背景を考察する(ネタバレありの感想)</a>

google関連記事広告
スポンサーリンク

コメント

  1. ねーやん より:

    初めまして。通りすがり失礼します。
    「シンゴジラ」人気の背景を考察なさっていると言う事で、楽しみに読んだのですが、存外的外れで独善的な意見が多く、てっきり炎上目的で最近書かれた記事なのかと思いました。
    色々突っ込みたいですが、突っ込み待ち目的でワザと書かれてあるようなアホ丸出しの項目も多いので、コメントしようかどうかも迷いました。

    このゴジラの記事に関しては、本気の評価をされているのでしょうか。半分はボケなのでしょうか。
    特に「出演者全員が早口」の箇所は、演出への憶測があまりにも酷すぎます。
    と言っても評価は独善で良いと思うので、何の問題も無いのですが。

    ただ、人気の背景への考察部分は、いくらなんでも無いでしょう。
    どこをどうリサーチしてそんな考察に行き着くのか、不思議です。
    例え映画を批判している人でも、そんなお粗末な憶測は貴方以外しないと思います。(意味蒙昧にアンチしたい場合は別ですが。)

    せめてシン・ゴジラを高評価している感想やレヴューを少しでも読んでみて下さい。

    この映画アンチであるなら、まだ解るのですが、「よくできた映画だがつまらなかった」と言って70点を点けるだけの冷静さをお持ちな訳です。
    それだけに、人気の考察を全くする気もなく勝手適当に憶測にすらならない稚拙で半端な項目を書かれてあることに悲しくなりました。

    連投でしたらすいません。

    • kodou kodou より:

      コメントありがとうございます。
      ネタ記事ならもうちょっとわかりやすくしますよ笑 全部本気で書いています。映画嫌いではありません。

      世間的に人気があることと僕が面白いと思うことは別です。そこを混同されている気がします。

      • ねーやん より:

        返信ありがとうございます。
        混同はしていませんよ、そうではなく、世間の人気を考察する姿勢を見せておいてそれを全くしていない点が気になったのです。

        貴方が面白く思わないのは問題ではなく、そこをベースとして「人気なのはこういった理由」だと勝手に決め付けている所が問題だと思います。
        それはあくまで貴方の想像する「人気の理由」なのであって、実際の理由では無いからです。

        「こう想像する」とかなら引っかからなかったと思いますが、態々「考察」と銘打って書かれている記事で何のソースすら示さず、しかも的外れな意見なのでがっかりしたのです。

        • kodou kodou より:

          ねーやんさんのコメントを読むと考察=客観的論評と捉えているようですが、考察というのは広く調べること、結果に対する意味付けを探ることなので、主観的に論じて全く問題ありません。

          理由の決めつけが問題ともおっしゃっていますが、社会の深層心理や人種の心性などは実験やアンケートではなかなか明らかにすることができませんし、ブログの記事ごときのレベルで明瞭にできることではありません。

          「貴方の想像する『人気の理由』なのであって、実際の理由では無い」
          はい、その通りです。それ以上を求めていませんし、誰かの代弁をするつもりもありません。「実際の理由」なんて誰がどう調べてもわかりっこありません。

          客観性のみを求めた記事が読みたいなら文化史とかの部類になってくるのではないでしょうか。記事を誰かが書いている以上、自分と違った意見や考えはあって当然だと思います。流行りのAIがまとめたものなら抵抗なく読めるのかもしれませんね。

          ねーやんさんは「シン・ゴジラ大好きな人が書いたシン・ゴジラマンセー考察記事」を期待していたようですが、この記事は「「シン・ゴジラが面白くなかった人が書いたシン・ゴジラ考察記事」なので、シン・ゴジラに対する距離感が微妙に違うため、ねーやんさんの想いとはズレているのかなと思います。

          熱いコメントありがとうございました!

  2. ねーやん より:

    何度もすみません。レス感謝します。
    「考察=客観的論評」とは捉えていません。
    客観的センスは必須だとは思いますが、考察はあくまで広く調べて考えることであって、ご自身の考えを答えとして述べるのは当然だと思います。
    私が疑問したのは、調べる部分において関連性や根拠足るソースが無い点、つまり例に挙げられている進撃の巨人やポケモンなどですが、それがシンゴジの人気へ繋がったとされる記述になんの論拠も書かれていない所です。

    ”「実際の理由」なんて誰がどう調べてもわかりっこありません。”とありますが、ならば何故最低限の根拠も示さず、他の感想などを見聞きする事も無く、考察などと銘打たれたのでしょうか。
    これではこの映画を好きな人をただ思いつきで馬鹿にしようとしただけの記事に見えかねません。

    「シン・ゴジラが面白くなかった人が書いたシン・ゴジラ考察記事」についても、最初からそう思って楽しみに読んだのです。
    アンチや信者の意見では感情論ばかりで排他的に過ぎず、冷静に分析し、きちんと考察した記事を求めていました。

    決して、価値観や解釈、意見の違いを問題視している訳ではない事を、ご理解下さい。

    最後になりますが、高々いち個人の便所の落書き程度に、いちいち文句をつけるような構図になってしまった事をお詫びします。
    そして、こんな詰まらんコメに付き合って下さった事に感謝します。
    ありがとうございました。

kodou へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください