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スェーデンで2015年に公開され大ヒットした映画「幸せなひとりぼっち」を見に行ってきました!2016年12月17日に日本で公開されました。
ゴールデン・ビートル賞主演男優賞・観客賞、シアトル国際映画祭主演男優賞、カブール・ロマンチック映画祭観客賞など各国で賞を受賞している映画です。
原作も世界で200万部のベストセラー。
目次(クリックでワープ)
あらすじ
ルールに厳格な初老の主人公(オーヴェ)。妻に先立たれ、仕事もクビになり自殺を図ろうとするがうまく死ぬことができない。隣に引っ越してきた隣人と関わっていくうちに次第に心が通うようになり・・・。
幸せなひとりぼっち予告動画
映画の原題は「EN MAN SOM HETER OVE」
公式サイト
ジャンル
ヒューマンドラマ、視聴制限なし、上映時間は116分
シネ・リーブル梅田
12月20日現在、大阪ではシネ・リーブル梅田でしか見れません。シネマート心斎橋では12月24日から上映開始予定。公開される劇場は順次増えているようで、公式Facebookで最新情報をチェックしましょう。
場所
「シネ・リーブル大阪?どこやそれ」と思いながら検索すると梅田のスカイビル内にある映画館でした。むかーし「コーラス」か何かの映画を見たことがあったので懐かしい気もしましたが、内装が全然変わっていて?面影は全くなかったです。
できる映画館臭がすごい
世間受けのいい人気の洋画とクソみたいな日本映画に侵食されすぎたTOHOシネマズのラインナップに比べると、シネ・リーブル梅田は爆発的には人気が出ないけど良質な海外映画をたくさん扱っている映画館でした。
映画の半券でコーヒーが半額になったり、同ビル内の飲食店で割引をしてくれるサービスも嬉しいし、映画館の上映前には同時刻に開演している映画とお間違えなのないよう何度も注意喚起のアナウンスをしてましたし観客に優しかったです。
伝説の映画pkが隣で
僕も友人も褒めちぎった映画「pk」が隣の会場で上映してました。
この映画館とは長い付き合いになりそうです。
幸せなひとりぼっち特集
映画館の特設コーナーで「幸せなひとりぼっち」が取り上げられていました。テレビを使った映像と雑誌の大量の切り抜きがあって、映画館一押しの作品でした。
幸せなひとりぼっち感想(ネタバレあり)
ストーリーに意外性はなく、良くも悪くも最初のテーマのまま終わる映画でした。「見て損したー」と思うほどつまらなくはないですが、もうちょっと盛り上げどころというか泣ける場面が欲しかったです。妻が流産するところが映画のピークだったかな?
グラントリノを超えられず
似たような設定に「グラントリノ(2008)」というクリント・イーストウッド主演の映画があります。孤独で頑固な老人というキャラ設定は同じで、周りとの関わりでストーリが展開していくパターンも同じ。
グラントリノはアメリカを舞台にした映画なので犯罪が1つの大きな要素になっていて、同じ老人を描いていても強さ・厳しさが描かれていたのに対して、幸せなひとりぼっちは舞台がスウェーデンなので主人公オーヴェの強さは全く描かれていません。最愛の妻を亡くした悲しみにくれる老人というただそれのみを究極に追求していました。
純愛映画やヒューマンドラマとしてはそれでいいんですけど、社会に訴えるテーマや哲学を感じることはできませんでした。
「ひとりぼっち」ではない
最愛の妻、親友、仕事を失った意味で「ひとりぼっち」になった主人公が、悪態をつきながらも優しく振る舞うことでいつしか人を惹きつけ、死ぬ間際には多くの人から愛されて死ぬという映画でした。
僕が想像していた「ひとりぼっち」は妻や親友もいない「ひとりぼっち」だったので、それを「ひとりぼっち」と言われても納得できない感じがしました。
不幸すぎるおっさん
オーヴェの人生が不幸すぎて「恋空」状態でした。フレドリック・バックマンが自分の父親をモチーフに書いた物語を映画化したものですが、原作もここまでいろいろ悲惨な目にあっているのか?というのは気になります。
- 子供の頃に母と死別
- 親父が列車に轢かれ死亡
- 家が隣の貰い火で全焼
- 旅行中のバスが事故に遭い、子供流産&恋人下半身不随
- 妻ガンで他界
- 親友が意思疎通ができないほどの重度の障害を持つ
- 40年以上働いてきた会社をクビになる
ただ、この映画のすごいところは恋空と違って、いろんな事件事故がありながらも、登場人物の心理描写・場面設定が丁寧で、突拍子もないシーンの連続で「なんやこれ?」とはならず、作品としてのまとまりの良さを感じるところ。
街によくいる口うるさいおっさんは実は壮絶なエピソードを持っているかもしれないというメッセージ性は感じましたが、もっと普通で平凡なおっさんを切り取って欲しかった。
スラムドッグミリオネアを超えられず
幸せなひとりぼっちと同じ現在ー過去ー現在ー過去とストーリー展開していく構成の映画にスラムドッグミリオネア(2008)があります。幸せなひとりぼっちでは自殺しようとして意識レベルが低下した時、あるいは家の場所をキッカケに過去の回想が始まります。スラムドッグミリオネアでは問題ごとに回想シーンが差し込まれていたように思います。
スラムドッグミリオネアには緊迫感がありましたが、幸せなひとりぼっちでは緊迫感はありませんでした。回想シーンで親父が列車に轢かれるところや、バスの事故の時の驚きは唐突な驚きだったので(不幸で終わると予想がつくため身構えられる)ドキドキ感はありませんでした。
時折名言あり
原作が小説なので光る1フレーズがいくつかありました。記憶が曖昧なので細かな言い回しは間違っている可能性が高いです。ニュアンス程度にとどめておいてください。
- 「悲しみが私を強くした。怒りを力に変えて〜」
- 「結局私の気持ちを動かしたのは妻の一言だった『今を力一杯生きるのよ』」
- 「私を認めてくれた人達だけで葬儀を〜」
- 「イランから戦線を超えてここまで来て、ダメ男と結婚して、子供を3人も身ごもって、運転の何が怖いんだ!」
笑える要素あり
「アウディなんかに乗っているやつに何ができるっていうんだ。ロゴに0が4つもある車だぞ」など車関連のユーモアが多かったです。主人公は車種のサーブを愛用してボルボを嫌ってましたけど、車に詳しくないと言っている意味がよくわからなかったw全体的にくすくす笑い程度のユーモアが多かったです。
おまけ:前売り特典
前売り特典は特製クリスマスカードでした!使えねえwww
まとめ
- いい映画だったけど、主人公の強さ厳しさが描かれておらず、作品に緊迫感がない。
- セリフのセンスの良さやユーモアさでほっこりして楽しめる。
- 似た構成のグラントリノやスラムドッグミリオネアを超えられていない。
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泣いて喜びます。
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