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困難に打ち克つ「脳とこころ」の法則 を読みました。
この本は、脳の構造・機能から心の仕組みが大体わかってきてるよー。
大舞台で力を発揮するにはどうすればいいか、
組織を活性化させるにはどうしたらいいかなどに言及した本です。
著者は脳神経外科医で北京オリンピックの日本代表競泳チームにメンタル講義をしたこともある林成之。
医学用語に頼らず、なるべく平易な言葉で読みやすいように仕上げた1冊。
@49hackJpが面白いと思ったのは「前向き」について書かれた部分。
前向きが脳科学的にどんなメリットがあるのか知れました。
目次(クリックでワープ)
前向きな感情を持つことの大切さ
脳の疲れを除去するには
好き、おもしろい、楽しい、自分でもやってみたい、など前向きの感情を持つこと
p37
前向きな感情・気持ち → A10神経群活性化 → 脳の疲れ除去
A10神経群:扁桃核、視床下部、側坐核、尾状核、吸結節
前向きになれないから行動できない時の対処方法
興味をもつことで理解するのではなく、理解することによって好きになり、興味を持つことができます。
p57
自分の好きな分野を生かして、苦手なことを取り組むキッカケを作る。
例)英語は嫌いだけど勉強する必要がある。アニメは好き。
アニメについて書かれた英語の文章の和訳に挑戦してみる。
易しいことから始め、とにかくやってみる。そうやって、覚えなければならない物事が理解できるようになると、脳は必ずそのことに興味を持ちしめるようになるからです。
p118
愚痴を言ってはいけない
愚痴を言うこと自体が、自分の脳に「働かなくてもよい」というシグナルを送っていることと同じだからです。
p59
本書のダメなところ
読んでいてどうしても気になった点について
わかりにくい
「難解なことを専門用語を極力少なくわかりやすく書きましたー」
とか言ってるけど、それでもわかりにくいw
言葉や主張が難しいからではなくて、
本の章立てに失敗している。
序論で紹介している
①脳内の情報ルート
②こころは7つの本能から生まれる
という2つの原則を元にずーっと書いてるんだけど、
その理解の抑えをあまりせずに、次の章で詳しく書いてるから〜
と言って次に進む。
それが飛び飛びすぎて、結局大原則部分についての理解があやふやなまま。
内容に同意できない箇所がある
恋愛と好きの違いについて
「恋愛」は、本能に根ざした感情です。生きたい、仲間になりたい、という本能から生まれてくる「相手のために何かしてあげることが嬉しい」という気持ちが伴っています。しかし、「好き」という気持ちは欲望に基づく感情ですから、相手を思いやる気持ちが生まれてきません。欲望はあくまでも自分が中心ですから、好き=恋愛と呼べないのです
p50
論拠が不十分なのに確定的な物言い
脳の仕組みが前提にありすぎて、
それに反する事例は論拠不十分でも「だからダメなんですよ〜」
それに該当する事例は「これも〜なんですね〜」
という態度が気持ち悪いと思ってしまう。
フリーデスク=業績悪化?
p68で
席自由のフリーデスク(フリーアドレスというのが正式)は統一性を好む脳の機能に反する。
フリーデスク導入した事業所のみ業績悪化した!!
と言ってますけど、そのデータを明らかにしてないし論拠が不十分。
2017年に以下のような記事は出てます
参考 グーグルやフェイスブックを真似して失敗? | ビジネスジャーナル
が、フリーアドレス導入企業と非導入企業の統計学的差異についての研究はありません。
イチローの打席ルーティンについて
イチロー選手が打席でバットを立てるのも、自分とバットまでの範囲のゾーンにするための動作です
p72
動作とも考えられます、動作になっています。という書き方ならわかりますが
動作です。という書き方は疑問
イチロー本人のインタビューで「ピッチャーに対してバットを立てているのではなく、バックスクリーンの位置を確認しているだけ」という発言を聞いた記憶があります。
ネット情報では目のピントを合わせるため説も出回っています。
困難に打ち克つ「脳とこころ」の法則の購入
ツッコミどころもありつつ、こころの持ち方の科学的裏付けを知るには面白い本でした。
「空間認知力がゾーンを生み出す、正しい姿勢であることの大切さ」なども書かれてます。
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泣いて喜びます。
<a href="http://49hack.jp/maemukisikou-merit/">前向きになることの脳科学的メリット</a>