この記事の読了時間は約12分です。
ビックカメラおよびソフマップのMac取扱店舗にて始まった「Macアップグレードプログラム」。仕組みが複雑なので、要点を整理して利用する際の注意点をまとめます。購入金額も計算してみて本当にお得かどうかを明確にします。
2017年3月2日に記事内のコンテンツに有用な計算を一部追加し、フローチャートの図を掲載しました。
Macアップグレードプログラムとは
2017年2月17日よりビックカメラ系列店で始まった新しいMac購入方法。
対象者はビックカメラ、コジマ、ソフマップのポイント会員。
手数料無料、総額の65%を24ヶ月分割払い、オプション2つに強制加入。
本体価格×65%の24回分割払いで2年間利用
「Macアップグレードプログラム」を利用すると、本体価格×65%の24回分割払いで2年間利用できます。分割の金利手数料は無料
これだけ聞くと良さそうな気がしますが、買取ではなく2年間利用できるというのがポイントです。その間の2年間は自分の物ではありません。
明文化されていませんが、改造、大きな傷、シールなど本体を汚す行為はおそらく禁止です。
強制加入のオプションが2つ
家電量販店らしい商売です。
「Apple Care Protection」と「安心サポート for Mac」のオプション契約が必要です。
AppleCare Protection Plan
Apple純正のサポートオプション。
すべてのMacには、製品購入後1年間のハードウェア製品限定保証と90日間の無償電話サポートがついています。AppleCare Protection Planに加入すると、保証とサポートがMacの購入日から3年間に延長されます。
値段は機種により異なり、
13インチ(MacBook、MacBook Air、MacBook Pro)で税込25704円(税別23800円)
15インチ(MacBook Pro Retinaディスプレイモデル)で税込35424円(税別32800円)
安心サポート for Mac
ビックカメラ独自のサポートオプション。
初期設定や周辺機器設定などパソコン初心者向けのサポート内容。
価格が公表されていませんが、ビックカメラ店員に直接話を聞いたというryosuke888さんによると価格は税込み15984円(税別14800円)
参考 PCデポ 高額解除料問題 大炎上の経緯とその背景(ヨッピー)
さらに、Macアップグレードプログラム限定で、
- データ移行(+7000円)
- Bootcamp設定(+4500円)
- MacOSアップデート(+2500円)
のサービスが安心サポート for Macに含まれます。
2年後の選択が肝
2年後の選択肢は3つ、買取、返却、新しい Macに買い替え。
買い取る
本体価格×35%を払えばMacを自分の物になります。
24回の分割払いでは65%を払っていたので、残りの35%を払うことで買い取れます。
返却する
本体価格×35%を払いたくない&最新のMacに買い替えたくない場合は返却すればOKです。
実質本体価格×65%の金額で、Macを2年間レンタルして使うことになります。
ただし、Macに傷やへこみなど目立った傷がある場合は、据え置き価格の35%で買い取ってくれない可能性があるので、0円返却ができない場合もあります。
新しいMacに買い替える
買取カウンターへ(ビックカメラおよびソフマップ)下取りに出せば、本体価格×35%を払わずにMacに買い替えることができます。買い替え時の購入金額は必要。
買い替える場合は、10%増額で買い取ってくれるという情報がありますが、
買取金額=本体価格×35%で計算されているはずなので、
10%増額だと本体価格×35%×(1+0.1)=本体価格×38.5%となり、
38.5%-35%=3.5%の差額分を現金でもらえるのか、ポイントでもらえるのか、買い替え時に割引されるのかは不明です。
最新のMacに買い替える場合にも再度「Macアップグレードプログラム」が利用できるかどうかも不明。
Macアップグレードプログラムは得なのか?
Macアップグレードプログラムと通常購入の比較
Macbookpro15インチ(2016)、Retina Touch Bar(2.7GHz / 512GB)を購入する場合を例に購入金額を試算
通常購入する場合の総額
2017年2月18日現在、Apple公式では税込301104円(税別278800円)
AppleCare Protection Plan:35424円
安心サポート for Mac:15984円
合計金額:301104円+35424円+15984円=35万2512円
Macアップグレードプログラム
2年間で支払う総額
本体価格+AppleCare Protection Plan+安心サポート for Macの総額の65%を24ヶ月で分割
10612円+10300円×23=247512円
2年後に買い取る場合の総額
買い取る場合は本体価格の35%を追加で払わなければいけないので
約301104円(公式価格)×0.35=約105386円
合計金額:247512円+105386円=35万2898円
2年後に返却する場合の総額
返却すれば、追加料金は発生しません。
最新のMacbookproハイスペックモデル(税込301104円)の8割の金額24万7512円で2年間レンタルしたことになります。
金額だけで考えると、8割も払うんだったら買った方が得な気がしますが、その間AppleCare Protection Plan+安心サポート for Macも付くのでお得といえばお得?
2年後に新しいMacに買い替える場合
前述したように、買い替える場合は、10%増額で買い取ってくれるという情報の詳細は不明ですが、買取金額=本体価格×35%で計算されているので、10%増額だと本体価格×35%×(1+0.1)=本体価格×38.5%となります。
38.5%-35%=3.5%の差額分は、約301104円(公式価格)×0.035=約1万0538円
この金額が買い替え時にキャッシュかポイントでもらえることになります。
2年間の支払い総額は24万7512円。
買い替えるなら、支払い総額は実質24万7512円-1万0538円=23万6974円
実質100-38.5=61.5%となります。
結果まとめ
- 通常:301104円(本体)+35424円(AppleCare)+15984円(安心サポ)=35万2512円
- Macアップグレードプログラムで買い取る:35万2898円
- Macアップグレードプログラムで返却:24万7512円で2年間レンタル
- Macアップグレードプログラムで新Mac買い替え:24万7512円で2年間使用して、約1万もらって新型に買い替え(使用していたパソコンはビックカメラに売却)
買い取るならアップグレードプログラムは損
2年後に使用していたMacを買い取る場合は、Macアップグレードプログラムに加入するとどう転んでも損をします、Macbookpro15インチ2016、Retina Touch Bar(2.7GHz / 512GB)の場合という注釈つきですが、他の機種でも違いはそれほどないでしょう。
オプションを2つ付けと比べてもMacアップグレードプログラムは損
Macアップグレードプログラム(オプション2つ強制)で買い取る場合と通常購入(オプション2つ付)を比べると、通常購入の方が386円安い(35万2898円-35万2512円)というまさかの結果に。
「本体のみの価格」とMacアップグレードプログラム支払い総額の比較
Macアップグレードプログラムの2年間の支払い総額24万7512円は、
本体のみ購入する金額(30万1104円)を基準にすると82.2%(247512÷301104)になります。
つまり、本体のみの購入を考える人にとっては「本体価格の8割(80%)を払って2年間レンタル」し、買い取る場合はさらに、約301104円(公式価格)×0.35=約105386円を支払わなければいけません。
単純な話、30万1104円(本体のみ) VS Macアップグレードプログラム35万2898円
Applecareを付けずに本体のみ買う人は、Macアップグレードプログラム加入後に買い取るのは損です。
レンタルメインの場合は「2年間レンタルするのに購入予算の8割は適正か?」ということを考えるべきです。それが安いと思うならMacアップグレードプログラムに加入すべきだし、それが高いと思うなら加入すべきではありません。
買い替えは1万円貰えるだけで、レンタルと仕組みは完全に同じです。
「本体+Applecare」とMacアップグレードプログラム支払い総額の比較
Macアップグレードプログラムの2年間の支払い総額24万7512円は、
本体にApplecare(3年間の延長保証)をつけた金額(30万1104円+35424=33万6528円)を基準にすると73.5%(247512÷336528)になります。
つまり、本体にApplecareを付けて購入を考える人にとっては「本体価格の75%を払って2年間レンタル」し、買い取る場合はさらに、約301104円(公式価格)×0.35=約105386円を支払わなければいけません。
33万6528円(本体+Applecare) VS Macアップグレードプログラム35万2898円
Applecareを付けて本体を買う人にとっても、Macアップグレードプログラム加入後に買い取るのは損です。
レンタルメインの場合は「2年間レンタルするのに購入予算の75%は適正か?」ということを考えるべきです。それが安いと思うならMacアップグレードプログラムに加入すべきだし、それが高いと思うなら加入すべきではありません。
買い替えは1万円貰えるだけで、レンタルと仕組みは完全に同じです。
手数料無料に騙されるな
「手数料無料」と見るとお得なのかな?と思ってしまいますが、
Appleではショッピングローン0円キャンペーンを継続してますし、
ビックカメラ・コジマ店でも分割払い最長60回無料キャンペーンをやっています。
Macアップグレードプログラムだけ手数料無料ではありません。
Appleのショッピングローン0円はクレジットカード分割手数料とは別です。
勘違いしてしまった@49hackJpのてんやわんや記事は↓
参考 楽天カードの分割払いを繰り上げ返済するための手続きと注意点、計算式など
ビックカメラの「総額」は「本体+オプション2つ加入の金額」
返却時の支払い総額は24万7512円。
ビックカメラは「総額の65%」と言ってますが騙されてはいけません。
ビックカメラの言う「総額」は「本体+オプション2つ加入の金額」です。
2年後のビックカメラの悪どさを予測する
Macアップグレードプログラムが終了する2年後、
ビックカメラはこう言ってくるはずです。
「買取ですと10万5386円払ってください、返却なら0円で結構です。」
ポンと10万円を払うのは抵抗がある人が多いはず、それなら返却するか・・・と選択しそうになった時に、ビックカメラはこうつぶやきます。
「買い替えてくれるなら1万円あげますよ!」
「買い替えなら1万円もらえますよ〜、返却するならもらえませんよ〜」
「2年使ったパソコンを10万出して買い取る位なら、新しいパソコン買うか!1万もらえるし」加入者にこう選択させるのがビックカメラの算段です。
アップル
売り上げランキング : 22634
|
Macアップグレードプログラム儲けの仕組み
ビックカメラとしては
ユーザーに買い取られても、オプション分ボロ儲け。
ユーザーが返却しても、2年間の支払い総額25万円でほぼ原価を回収できて(公式販売価格30万)、中古価格が50%〜60%のMacをタダで仕入れられる。
ユーザーが新型Macに買い替えるなら、2年間の支払い総額25万円でほぼ原価を回収できて中古価格が50%〜60%のMacをタダで仕入れられる、1万払うけど新たな20万〜30万の売り上げ確定、Macアップグレードプログラムを利用して買ってくれるなら・・・以下無限ループ。
得なの?損なの?がわかるフローチャート
アップグレードプログラムに加入した方が得かどうかがわかるようにフローチャートを作りました。これさえやれば入るべきかどうかがわかります。
バランスが悪くて見にくいですが勘弁してください。
この記事をブログ等で紹介する際は下のHTMLコードをコピペしてお使い下さい。
泣いて喜びます。
<a href="http://49hack.jp/biccamera-macupgrade-program/">ビックカメラ「Macアップグレードプログラム」はお得ではない!検証結果公開。</a>
コメント
はじめまして。私も勘違いしていたのですが、車のように「返却なら0円で結構です。」ではない、のではないでしょうか。
「返却」することはできず、据置金額は最後に請求するから、どうにかしてお金を用意してね(ソフマップなら高く買い取りますよ)ってことなのでは。なので、買取金額が据置金額を下回ったら、Macを手放しても更に請求が来るという散々なことになる気がします。
また、「本体価格の8割を払って2年間レンタル」はちょっと違う気がします。普通に買うときでもAppleCareは場合によっては役に立つので(自然故障が一回でもあれば元がとれます)。本体価格+AppleCareで計算すれば、金額的には妥当ではないかと。
torikasyuさんコメントありがとうございます。
その1 「0円返却について」
下取り金額についてのビックカメラの店員が「キズやへこみなどがなく2年間キレイに使った場合、35%に設定されている据置金額よりも高値で下取りに出せることが多い」とASCII.jp:「Macアップグレードプログラム」がビックカメラでしか実現できない理由の記事内で発言しているので、汚く使った場合(傷やへこみがある場合)は0円返却ができなくなる可能性ももちろんありますね。
普通に使っていれば0円返却で済むと思いますが、始まってみないとなんとも言えないところですね。
その2 本体価格+AppleCareで計算 について
これは記事内でも計算しようかと迷った部分です。ここに気づくとは着眼点が鋭いw
記事では「僕が買い換える場合」を想定してAppleCareはいらないという前提で計算しています。
論旨がやや複雑になりますが、やはり補足として本体価格+AppleCareの計算も提示しておいた方が誤解が少なくなりますね。
以下の2点について時間の余裕があるときに記事内に追記して更新しておきます。
優しさなのか凄く悪意のある書き方に見えました笑
ビックカメラが儲かるだけの仕組みだと思ってます。表層的な理解では購入者が損をするようになっているので注意喚起の意味合いが強いです。
楽しく参考にさせていただきました。
でもビックカメラのサイトを見ると「安心サポート for Mac」は任意加入ですよ。
(AppleCare+は必須です)
この記事を書いた頃には明記されてなかったのでしょうかね。
いずれにせよ、計算が変わってくるのではないでしょうか。
細かいルールは批判を受けて?変わったんでしょうか。
計算し直す気力も興味もなくなったのでまくこさん頼みますw