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認知症の祖母を軸に家族を描いた芝居「て」を見に行ってきます。
ハイバイの芝居を見るのは今回が初。
「こわれても、こわれても、家族。」というポスターの文言が秀逸です。
@49hackJpは2017年から芝居を見始めて今回で11回目の観劇になります。
目次(クリックでワープ)
「て」の魅力
ハイバイノテと聞いても意味不明ですよね。
何が劇団名で、どこからが芝居名なのかがわかりにくいw
再演しまくりの代表作
「て」の初演は2008年、2018年の公演で再演4回目!
再演しても客が呼べるぐらい面白いんですね〜。
内容も再演するたびに少しずつ変えているようです。
韓国で3冠をとった
2017年に「て」を上演し(韓国の劇団LAS)、第38回ソウル演劇祭で3冠。
主宰の岩井秀人の人生が面白い
- 医者の父、兄から暴力をふるわれる幼少期
- 16歳から20歳まで対人恐怖症でひきこもり
- 大検取得、演劇科卒業
- 2003年 劇団ハイバイ旗揚げ
- 2012年「生むと生まれるそれからのこと」の脚本で第30回向田邦子賞を受賞
- 2013年「ある女」の脚本で第57回岸田國士戯曲賞を受賞
人生の艱難辛苦を乗り越えているから深みのある脚本が書けるんでしょうか。
インタビューに答える岩井秀人
「て(2018)」の日程
東京、高知、長崎、兵庫で公演があります。
2018年8月18日[土] – 9月2日[日] @ 東京芸術劇場 シアターイースト『て』
2018年9月7日[金]~8日[土] @ 高知県立県民文化ホール オレンジホール(舞台上舞台)
2018年9月15日[土]〜16日[日] @ アルカスSASEBO 大ホール特設劇場
2018年9月22日[土]〜23日[日] @ 伊丹市立演劇ホール AI・HALL
9月16日現在、残るは兵庫公演のみ!
@49hackJpと一緒に兵庫県伊丹市で見ましょうw
前売り券は完売していますが、当日に空きが出る可能性はあります。
「て(2018)」の感想
ハイバイの「て」を見てきました!
内容的には普通、チケットの価格を考えるとちょっと物足りない
見ていて気づいたことや感じたことをまとめます。
舞台を挟んで両側から見ることができる
席は入り口側と、舞台を通った向こう側の2つのエリアがあって全席自由席でした。
開演まで向こう側の席の人と目が合ってしまうのでちょっと辛かったw
伏線が多い
序盤に伏線がとにかく多い。
「〜の意味はなんだ?」
「〇〇はなんで〜してたの?」
と疑問符だらけになります。
中盤から伏線がどんどん回収されていきます。
見ていてトータルテンボスのボイラー室漫才を思い出しました。
応接間のくだりが未回収
それでもよくわからなかったのは「長男はなぜ応接間に車の部品をたくさん置いていたのか」
祖母がボケようがボケてなかろうが同じ行動をしていたと言い張る長男
おばあちゃんの家なんだから物をどかせと詰め寄る次男
身近にいる者(長男) vs たまに面倒を見る者(次女・次男) という構図だったので、
その意識のズレを表現したかったのかなと思いますが
なぜ車の部品だったのか? そこがよくわかりませんでした。
主人公が不在で話が表層的
次男と友人を中心に話が進んでいきます。
ただ、長男、長女、母親のキャラも強いので、次男が主人公とは言い切れません。
4人の想いが混ざり合って、芝居としての深みが出ていれば、それで全然いいと思うんですが
4人の想いは別個のまま、主人公が不在なので、話が表層的なままで終わってしまっている感じがしました。
長女が「次にみんなで会うときにうまくいくように、今日は無理だと思っていても一旦集まってもらった」的な発言をしていたので、
すれ違いを忠実に芝居として表現したかったのかなとも思いますが、互いに理解できないならできないなりに、大きなすれ違いであった方が面白い気がしました。
序盤のすれ違い = 終盤のすれ違い
すれ違っている人は変われど、いつまで同じことをグルグルやりとりしているのかなと思いました。
父親の狂気性が伝わってこない
父親の過度の暴力や狂気性についての説得力が足りなかったです。
関連するエピソードや言動は芝居に盛り込まれてましたが
それぐらいのことをそない引きずるかな?という感じでした。
きっかけとしては小さなことでいいんです。
それを当事者がどう消化仕切れずに悩んでいるのかが描ければ。
「て」ではきっかけも小さいし、当事者の消化しきれなさも描けていなかったので、
芝居全体の説得力、現実感に乏しい気がしました。
細かな描写が面白い
全体的な不満点はあれど、
部分的には「面白いなぁ」「相当考えたんやろなぁ」と思うところがありました。
- 祖母と母親の演者の年齢ギャップをあえて逆に作る
- 祖母が義手を持つ演出
- リバーサイドを歌う父親の癖
- 長男の「見たいものがあるから」発言の真意
- 長男は葬儀前から泣いていたのかどうか
- 長男の悲しみを誤魔化す怒り
正解として提示されることもあれば、
観客が考える余地として残されていたところもあって
観劇後のネタには尽きない印象でした。
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泣いて喜びます。
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