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「すごく面白かった。将来が期待できますね」
2016年3月20日、「よしもとゴールデンアワー」の初回公演での発言(MCダウンタウン)。
よしもとゴールデンアワーでダウンタウンの松本人志がDr.ハインリッヒを絶賛したと聞いて、Dr.ハインリッヒの動画をまとめて、漫才特長、深読み分析をしてみました。近年のテレビ離れについて視聴者目線ではなく芸人目線からも考えてみました。
目次(クリックでワープ)
よしもとゴールデンアワーとは
ゴールデンアワーについては過去に記事にしました。
参考アインシュタインがダウンタウンの前でネタ見せする歴史的イベント「よしもとゴールデンアワー」
応募殺到
座席数858に対して、先行予約の応募が7000もあったそうです(3月10日放送「松本家の休日」)。僕も仕事がなければ応募してました。
第1回はダウンタウンがMCということで応募が殺到したと思いますが、人気芸人の寄席回帰は今後さかんになってくるかもしれません。
テレビのDVD化がもたらすコアファン層の拡大
テレビでは放送コードが厳しかったり、スポンサーの関係で自由なお笑いができません。
安易なDVD化
テレビ局はテレビ番組のDVD販売を加速させていて、なんでもかんでもすぐにDVDで販売するようになりました。スポンサー収入の減収ということもあるんでしょうか。
その結果、ますますテレビを見なくなるという悪循環に陥っているように思います。
テレビの弱体
DVDに視聴者が流れると、テレビに力がなくなります。
テレビを見なくても、販売されるDVDを買えばいいからです。
ファンはDVDから舞台へ
そして、DVDを買うほどの熱烈なファンは「生で観たい」と思うようになります。
テレビで完結していた感情が、DVDで繰り返し見れるようになると、もっと近くで彼らを見たい、編集なしのライブ感を楽しみたいという思いが募るからです。
あるいはテレビ視聴+DVDを買うという自分の行為に強化されて、「私は〇〇が好きなんだ」という想いが強く意識されるからかもしれません。
人気芸人の寄席回帰の効用
中川家などを除けば、寄席や舞台は、若手芸人やベテラン漫才師が切磋琢磨している場所という認識でいました。
よしもとゴールデンアワーのように、テレビで活躍する一流のお笑い芸人が凱旋してくるとなると寄席も盛り上がります。
- 寄席を活躍の場にしていた芸人にとってはいい刺激になる
- 「生で観たい」というコアファン拡大による需要も相当ある
- 一流お笑い芸人にとっても放送コードがない自由な笑いを追究できる。
寄席は儲かる
ミュージシャンはいかにライブに人を呼びこむかが重要であって、テレビ出演やアルバム販売はその動線に過ぎないという話があります。
寄席に客を呼びこむことが出きれば、寄席を企画する吉本にとっては相当おいしいのではないしょうか。一枚DVDを販売するよりも安いコストで高い利益が出るはずです(MCのコストを今回のようにケチれば)。
Dr.ハインリッヒとは何者か
前置きが長くなりました。
Dr.ハインリッヒについて語りましょう。
実を言うと、今回の松本人志の発言で初めて聞いたお笑い芸人でした。
聞いたこともなかったです。
Dr.ハインリッヒの動画
1回目見ただけではDr.ハインリッヒの良さがわからないかもしれません。
僕がそうでした。
2回、3回見ると彼女たちの良さがわかってきました。
チーマーの後輩
ある主張に対してそれを否定する内容の主張。対立命題。反立。
スパゲッティ柄の少年少女
画期的な結論
無政府状態、無秩序な状態
Dr.ハインリッヒの漫才の特長
3つの動画でわかったことは以下の4つ。
- 異質な世界観
- インテリ文学ボケとアホなツッコミ
- 難解な用語を1つ、2つ使う
- 双子なのに双子ネタをしない
異質な世界観
鳥からタイヤが出ている、チーマーの後輩など、漫才の設定は奇抜で単純。
設定が奇抜だと、ボケをどんなに頑張っても設定に勝てずにスベってしまう事が多い。
インテリ文学ボケとアホなツッコミ
Dr.ハインリッヒはそこでボケの要素に文学作品のような内省や考察を取り入れている。普通は「5歳の女の子」と言う所を「年の頃5歳の女の子」と表現する。
そうすることで、通常の漫才の設定では「奇抜」だった設定を、文学作品の中の「お話」に転化させ、奇抜だった設定に違和感なく観客をいざなっている。
聞き手側(右)を少しアホっぽくして、丁寧に言葉を繰り返すことで、お客さんにわかりやすく、かつ一般人代表の象徴としてツッコミが動いているように感じる。
難解な用語を1つ、2つ使う
「わかりやすく」というのが漫才の基本だが、あえて難解な用語を1つか2つほど使ってDr.ハインリッヒは漫才を構成している。
難解な用語はインテリ文学ボケとの相性は抜群にいいので、それで使用している可能性が高い。
しかし、もっと深読みするならば、「私達の漫才は1回見ただけでは理解できません」と表現しているように感じる。
1つひっかかりのある言葉を入れることでもう1度見る。
「さっきなんて言うてたかな?」
すると1回目では理解できなかった彼女たちの漫才の構成の妙、面白さに気づく。
そこまで計算している気がした。
双子なのに双子ネタをしない
双子で漫才をしていると普通は双子ネタを幾つかいれる。不細工なら不細工ボケをいれるのが普通なように。
3つの動画しか見てないのでなんとも言えないが、彼女らのスタンスでは普通の双子漫才はしないという気がする。したとしても彼女らの特長を活かした新しい双子漫才を展開するだろう。
今後の活躍に期待ですね。
<2016年6月5日追記>
5月にDr.ハインリッヒの単独ライブを見てきました。
単独ライブを見に行って、新たに感じた特徴は3つ
設定ではなく感情漫才
漫才に流れがない
ツッコミは3役
松本人志絶賛の舞台裏(2016年4月21日追記)
Dr.ハインリッヒ彩のブログにてよしもとゴールデンアワーの舞台裏話がありました。
以下、よしもとゴールデンアワー|Dr.ハインリッヒ彩のブログより引用。
コアなお笑いファン向けの漫才を貫く
相当分かりやすい寄席用のネタでもやらない限りは爆笑取るのは不可能であることも分かっていながら、我々は一番大好きな、コアなお笑いファン以外には伝わらないであろう漫才をやりました。理由はただ一つ、ダウンタウンさんに面白いと言ってもらいたいからだ!
松本人志の反応
ネタが終わって、袖に帰ってきたら、松本さんから
「面白かった。笑てもうたわ。」と言っていただきました。
アインシュタイン稲田のやさしさ
感極まってきて涙してたら、アインシュタインの稲ちゃんが、実にキザな素振りでもって、キレイにたたんだティシューを差し出してきてくれました。化け物みたいな面してナイスなガイでした。
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泣いて喜びます。
<a href="http://49hack.jp/drheinrich-manzai-analysis/">松本人志絶賛のDr.ハインリッヒの漫才を分析してみた</a>