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笑いに正解はない。
ただ、笑いが起こる法則は存在する。
そんな書き出しで始まる「漫才入門」
めちゃイケ、爆笑レッドカーペットなどの番組を担当した放送作家「元祖爆笑王」、松本哲也、大隈一郎の3人が専門学校で講義した内容を文字にしたもの。
本文の中で書かれていた漫才とコントの違い、バカとボケの違いが興味深かったのでまとめる。
「」は本文からの引用、自分が考えたことを補足しながらまとめる。
目次(クリックでワープ)
漫才とコントの違い
漫才とコントの違いは何か?と聞かれたら、メイクをせず小道具を使わないのが漫才、使うのがコントという理解だったが、本の中でチラホラとコントの特徴が書かれていた。
袖から出てくるのが漫才
「コントの場合は、演者がステージ上にいる状態から始めることがほとんどですけど、漫才の場合はステージが明るくなったら袖から出てきて、挨拶してから話し始めるっていうのが基本のスタイル」
理由は書かれていないが、漫才はショーが始まってからステージに登場してくる。コントは既にステージにいる状態から始まる。
漫才は今始まったおしゃべりを聴かせるのに対して、コントは既に流れている演劇の一部を覗き見させるという形式上の違いがあるのかなと思った。
お客さんの顔を見れるのが漫才
「漫才のいいところはお客さんの顔を見ながらやっていいということです。コントでは、お客さんの顔を見ながらやるのは基本的にはNGです」
漫才はお客さんの顔を見れるが、コントは見ちゃダメ。
これも理由まで踏み込んで書かれていないが、コントはお客さんに覗き見させるという形式上、演者がお客さんの顔を見てしまうとその形式が壊れるために禁止されているのかなと思う。
漫才とコントの比較表
漫才とコントの違いを表にすると以下のようになる。
漫才 | コント | |
---|---|---|
いつ始まったか | 今 | 既に |
どう見せるか | おしゃべりを聞いてもらう | やりとりを覗き見してもらう |
お客さんの顔を見ていいか | 見てよい | 見てはいけない |
小道具の使用 | 使用しない | 使用する |
メイク | しない | する |
バカとボケの違い
ボケについてしっかり理解ができていなければ、ボケは作れない。本書の最大のテーマは「バカとボケの違い」について、生徒にいかにわからせるかという点にあった。
バカとボケに対する理解の深さが、素人とプロの明確な違いであるように思った。
すっとんきょうなことをするのがボケではなく、理由があるのがボケだというのは、一般的なボケに対する印象とはズレがある点が興味深い。
理由があるのがボケ、理由がないボケがバカ
「バカには理由がない。でもボケには理由があります。」
「理由や動機がないのに、笑わせようと思ってボケに走っているんですね。それはあざとい。そういうあざとさを、人はものすごく嫌う」
段階を踏めば、理由のないボケはバカにならない
ボケの種類には大きく3つ「あるある」「ありそうありそう」「なしなし」があり、順番はあるある→ありそうありそう→なしなしと段階を踏んでいくのが良いとされている。
つまり、「なしなし」のボケで笑ってもらえるように「あるある」「ありそうありそう」と段階を踏んでいけと。段階を踏めば、それ単体では「なしなし」で理由のないボケもボケになるが、段階を踏まずに、いきなり「なしなし」のボケをしてしまうのはバカ。同じボケでも順番を間違えるとバカになってしまうと書かれていた。
ボケとバカの関係図
本書で書かれていたことを図にすると以下のようになる(はず)。
ホリケンのボケは「バカ」か?
ネプチューンのホリケンのようなボケは本書に従えば「バカ」に分類されると思う。
段階をふまずして奇想天外な言動をするから。
ただ、ホリケンの場合の「バカ」は、笑いの構造そのものをぶった切る性質があって、ほりけん自身もそれを自覚して行っている。彼には常識的な学力があるので(ネプリーグ参照)、難しい「なしなし」のボケをいきなりする「バカ」をあえてやれるだけの能力がある。
明石家さんまも「ホリケンはMCさえできたら俺の後継者や」と公言している。
一概にバカだから笑えないとは言えないが、高い能力が必要だとは思う。
ツッコミが単調になってしまう原因
語彙力がないということも原因の1つだと思います。
「ほとんどのボケに対してツッコミが『おかしいだろ』になってしまうのは、そのボケに理由がないから」(正確には、ボケではなくバカ)
理由、フリを意識することで自然とツッコミの種類も増える。
ボケが思いつかない原因
「キャラクターがあった上で、ボケが考え付かないっていうのは、そのキャラクターの幅が広すぎるんだと思う。」
性格やディテールを肉付けしたり、対象とするキャラクターを狭めると、ボケが思い浮かびやすくなってくる。
新聞を読む理由
新聞を読む理由について、ブロガーなどにも当てはめられる発言があった。
「新聞は必ず読んでください。新聞は世界の手紙です。自分の発想を世間の人たちに向けて発表する上で、世間で起こっていることがリサーチできていないと、よりスムーズに伝えることができません。新聞を読んで、いろいろ勉強していると、『あるある』の参考になるのではないでしょうか。」
漫才入門
漫才という日本独自の文化を分析したテクニック本。
漫才の作り手としても、漫才のお客としても、深い知見が得られる本だと思ったので。
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泣いて喜びます。
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